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講習会で聞いた登山中の悩み(リアルな声)

先週末は2つ講習会の講師をさせていただきました。
6月25日は国立登山研修所主催の「安全登山サテライトセミナー」で名古屋に行きました。そして翌日26日はクラブツーリズム主催の「富士登山を目指す!〜高山病セミナー〜」、こちらはオンラインにて開催でした。

講習会は私にとってもとてもいい勉強になります。なぜなら、登山者のリアルな悩みや意見をお聞きできるからです。登山者の悩みを聞いた大規模なアンケート調査ももちろん有益ですが、集計されたデータでは読み取れない内容もたくさんあります。

例えば、「下りで膝が痛い」というのはたくさんの登山者が悩んでいることですが、どのような場面で膝のどの部分が痛くなり、それを防ぐためにどのようなことをしているか・・・など具体的なことはやっぱり直接聞くしかないと思っています。それを聞けるのがリアルな場面なのです。

講習会で質問いただいた内容は、もしかしたら他の皆さんも同様に悩んでいるかもしれないので、会場で出たご質問とそれに対する私の回答を紹介します!

安全登山サテライトセミナー@名古屋

「登山の運動生理学〜夏山シーズン到来!いまから始める登山のためのトレーニングと山での実践〜」という内容で話をさせていただきました。今回は会場に70名ほどの方、オンラインで200名ほどの方がご参加されていたとのことです。対面とオンラインというハイブリッド開催!どんどん新しいことに挑戦させる登山研修所のスタッフの方には大変感謝しております。

●グループ登山で足が攣ってしまった方がいた場合、他の方もいる中でどのようにグループのペース作りを行ったら良いか。また、攣った方をどのように安全に下山させたら良いか。
回答:水分や電解質補給が足りない、偏った歩き方や筋肉の使い方をしている、など、攣る原因はいろいろあります。仲間同士の歩き方を見ながら、攣らないような工夫をすることがまずは大事。足の前面だけを使うのではなく、斜め歩行を取り入れたりストックを使ったりすることで足の負担が減ります。

●関節炎と診断されたのですが、関節の周りの筋肉を鍛える方法を教えてください。
回答:大きな筋肉を鍛える方法ではなく、関節周辺の筋肉を鍛えるのは軽い負荷で回数を重ねたトレーニングを行うことが大事です。例えばゴムチューブを使った方法など。

●登山中の呼吸ってどのようにしたら良いでしょうか。
回答:高山病対策にもつながるのですが、歩いているときは歩いているリズムに合わせて呼吸をすることが大事です。そうすることで酸素もうまく取り入れることができます。

登山力測定に最適な山の選び方について。
回答:いろいろな山で試してみて、データをぜひお送りください(^ ^)私も全国的に登山力測定に最適な山を作っていきたいと思っているので。

●下山後、太ももの外側が痛くなるのですが、どのようなケアをしたら良いでしょうか。
回答:太ももの外側を使いながら登っている方は多いです。そのため外側が硬く痛くなるのです。外側の筋膜リリースを行うこと、そして内側と裏側(ハムストリングスなど)を上手に使えようになるといいですね。

●登山前から食事や水分を多く摂取しておくことは意味がありますか。
回答:「ディハイドレーション」という言葉があるように、登山前から水分を多めに摂取することは効果があります。

富士登山を目指す!高山病セミナー

クラブツーリズムさんでの高山病セミナーは、6年ほど前から関わらせていただいています。毎年たくさんの方が富士登山ツアーに参加されて、登頂を目指されていますが、ほとんどの方が高山病に対する不安を抱えていることがわかります。富士山吉田口8合目の救護所を訪れている方の8割が高山病という現状からも、実際の登山中に高山病を発症してしまう割合も少なくありません。

●ストックはあった方がいいですか
回答:ストックは使い慣れると、膝にかかる負担が半分ほどまでに軽減されます。ぜひ本番前までに使えるようになっておくと良いですね!

●水分補給はどのくらい行ったらいいですか
回答:エネルギー補給・水分補給の式から求めていただくとわかりやすいのですが、(体重+装備重量)×42.7で求めた数値を行動中にしっかり補給するようにしてください。

●出発まで2週間です。今からでも低山に行った方がいいですか
回答:今の時期は暑すぎるので必ずしも「良い」とは言えませんが、本番の登山の1週間ほど前に低山に登っておくと本番が楽になります。

これってなぜ?どうしたらいいの?そんな疑問を持つことはとても大事なことです。そしてその解決方法を探すことがさらに重要。疑問点などありましたら、ご連絡いただけたら嬉しいです。一緒に解決していきましょう!!

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