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趣味・ジョブ・キャリア・天職を区別して「キャリア」の呪縛から抜け出す

いろんなところで言ったり書いたりしていますが、エリザベス・ギルバートというアメリカの女性作家の方の本がとても好きで、また彼女の生き様、言葉を心から尊敬し勝手にインスパイアされています。

ジュリア・ロバーツ主演の映画にもなり累計1,500万部(!)のベストセラーとなった自身の回顧録「食べて、祈って、恋して」が圧倒的に有名ですが、これは彼女の4冊目の本。この後も回顧録1冊、創造性についてのセルフヘルプ1冊、2冊の小説を出しています。

また、彼女の創造性についてのTEDでのスピーチは歴代ベスト10に入るとも言われ、これ以外でもいろんな場所で対談や講演をされています。エリザベスの語りは、聴衆が時には15,000人いても、聞き手一人ひとりとつながって言葉が身体に染み込んでくる感覚があり、私も掃除をしている時などはずっと何らかの彼女の講演を聞いています。

「食べて、祈って、恋して」は自身の家庭生活への疑問・離婚から始まり、最後の舞台はバリ。エリザベスはそこで出会ったブラジル人男性とその後結婚していました。でも、2016年にずっと大親友だった女性レイア・エリアスが余命宣告を受けたのをきっかけに、彼女が「私の人生の愛だった」と気づき、離婚して、レイアが亡くなるまでの壮絶な最期の日々をパートナーとして共に過ごしました。

レイアが2018年に亡くなった後、1940年代のショーガールたちの軽やかな小説City of Girlsを出版したこともあり(めっちゃ楽しい素敵な本!)、少しずつまた人前に出るようになり、レイアとの日々、グリーフを生きるということなどについて、語り始めています。

趣味とジョブとキャリアと天職

エリザベスはいろいろな経験があるがゆえに、いろいろな話をしていますが、その話の一つに「人は今から言う4つの言葉の意味をごっちゃにしているがゆえに苦しんでいる」というものがあります。

まず4つの言葉とは...

Hobby・趣味:ただ好きだから楽しいからやっている。お金をもらえなくてもお金を払っても、誰にも知られなくてもやるもの。

Job・ジョブ:日々を支えるだけの稼ぎを得る仕事。自分をそんなに捧げなくてもできる。生きていくための仕事だから別に楽しくなくてもそこに充足感がなくても全く問題ない。

Career・キャリア:情熱を傾け愛していて、自分を捧げる価値があると感じ、かつお金が入ってくる仕事。キャリアだと思った仕事が楽しくないというのは問題でそのキャリアは変えた方がよい。

Voccation・天職:その人はそのために生まれてきた、というもの。宇宙からの神聖なメッセージ。誰もあなたの天職を奪えない。

そして、多くの人がこの4つをごっちゃにしている、とりわけ情熱を感じ自分を生かせる「キャリア」がないといけない、というプレッシャーに苦しんでいる、と説きます。

もちろん理想は「天職」で「趣味」でもあるものが「キャリア」となることです。よく言われる「好きなことを仕事にする」というやつです。(すみません、私もどっかで言いました。)

でも、「キャリア」や「天職」がなくても、「ジョブ」があれば日々を生きていけるし、できればそこに「趣味」があれば十分。それくらいでいいんじゃないかと。

自分が今やっている仕事は「キャリア」だと信じてそこでがんばりすぎて、それ以外にまわるエネルギーさえなくなってしまうぐらいなら、そこまで自分を捧げなくてできる「ジョブ」に切り替え、自分の好きなことを趣味としてやればいい。次の「キャリア」を探さないと、と、焦ったりしなくていい。

だからキャリアキャリアしなくていいよー、と。

「天職」についても、人生の初期の頃から自分の天職をわかっていて、それに生きているという人もいるが、それは滅多にいないユニコーン(つまりほぼいない)である、と。だから自分の天職は何だろう、なんて、焦らないでね、と。

エリザベス・ギルバートは自分自身の話として、こう語っていました。(注:以下の引用は、いくつかの対談や講演で彼女が話しているものをまとめたもので、直接の引用ではありません。)

幸運なことに、自分は幼い頃から、唯一の好きなことが書くことで、唯一の得意なことが書くことでした。書くということは、ずっと自分の「天職」であり「趣味」でもありました。

つまり彼女は滅多にいないユニコーンのたぐいだったわけです。

でも最初は何年も出版できず、出版できてからも本はたいして売れなかったので、その間は実に多様な「ジョブ」(ウェイトレス、バーテンダー、牧場コック、家事手伝い、フリーマーケット、ジャーナリズムの仕事などなど)をやって生活を支え、あいた時間でずっと自分の本を書き続けていました。

多い時には一度に2-3個の「ジョブ」を掛け持ちしていたそう。

「食べて、祈って、恋して」が爆発的に売れたので人生初めてそこで「ジョブ」を辞め、今は書くことが「キャリア」にもなっています。でも書くことが「キャリア」になっているというのは一時的な話で、世間から飽きられればまたそれは「キャリア」ではなくなる。そうしたらまた「ジョブ」をやりながら書き続ければよい、と思っています。

書くことを「キャリア」としようとしたことは一度もない。それはずっと「天職」そして「趣味」であって、たまたま一時的に「キャリア」になっているにすぎない、ということです。

もしエリザベスが書くことを「キャリア」にしようとしていたら、出版できない間、出版しても書くことからはお金がほとんど入ってこない間に、嫌になってもう諦めてしまっていたかもしれません。事実そういう友達がたくさんいた、と言っていました。「ジョブ」だと割り切りそこで生活を回していたからこそ、書くという「天職」を続けられたのです。

「キャリア」にこだわらなくてよい

日本もアメリカの影響を受けてか、キャリア教育とかキャリアを考えるとか、すごくさかんになってきました。自分の人生を考える機会はそれ自体はものすごくいいことだし必要だと思います。

自分の学生時代はまだそういう機会がそこまでなかったので、中高大とほとんど人生のことを考えないまま勉強だけしていきなり大学3年で就活となり、「いや、あなたは人生で何やりたいかですかとか今言われても、こまるわ、わからんわ。もっと前から言ってよ」と思いました。やるべきです、キャリア教育。

でも、キャリア教育は大切な一方で、自分が情熱を感じ自分を生かせるキャリアがないとよい人生が送れない、なんて思う必要はない、ということです。それよりも、お金になろうとなかろうと、これやっていると楽しいわー、というものがあれば、それをちゃんと大切にする。そのほうが、きっと人生豊かになる。

キャリアだと思って取り組んでいる仕事がどうも違う、あんまり好きじゃないと感じたら、そこですり減らず、もっと淡々とできるジョブを探して、自分の人生を楽しむ余裕をつくる。趣味をやったり時間を楽しんでいるうちに、ふっと天職が見えてくるかもしれません。

自分も時々依頼を受けて「キャリアについて」話をしたりするので、自戒も込めての共有でした。


以下の動画がエリザベスが「趣味/ジョブ/キャリア/天職の違い」についてまとめてしゃべっているものです。


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いけばなをビジネスの世界につなげる活動をしながら、経営誌の編集や、執筆、講義・講演などのお仕事をしています。

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