買い占め

コロナを経済学的に考察してみる【買い占めの経済学】

コロナの影響がすごいことになっています。

学校休校もそうですが、まずは感染をしないことが第一です。私もまずは免疫をつけることと、手洗いうがいを念入りに行っています。

手洗いうがいとセットで語られることが多いものがマスクです。

ご存知の通り、今は入手が困難な状況です。マスクは理解できるのですが、ティッシュやトイレットペーパー、一時は納豆が品薄になるなどわけがわからない状況になっています。

これでも経済学部の学生の端くれなので、今回の件について超基礎レベルの経済学を用いて考察してみたいと思います。

買い占めの原理

そもそもなぜ買い占めが起こるのでしょうか。

買い占めには大きく目的が2つ存在すると考えられます。

1:転売2:備蓄の2つです。

それでは、それぞれの目的別に原因を考察していきたいと思います。

1:転売について

マスクががなくなってしまうと感染予防策に困りますよね。

ですから、今回のようにマスクが不足している場合、高い値段でも買う人がたくさんいます。

そのため、安い値段で大量に仕入れ高い値段でうる転売目的の買い占めが発生してしまいます。

このメカニズムは簡単に言ってしまえば需要と供給の関係です。

マスクの需要がコロナで上昇し、供給が追いつきません。需要と供給の関係に従えば店側が価格を上げればよいのですが、この状況でそれをしてしまうのはよくないでしょう。

実際に高い価格で販売したコンビニ店が炎上するといったことも起こっています。

そこに目を付けた個人が大量に仕入れて高く売るわけです。これがいわゆる転売です。

このメカニズムは比較的理解しやすかったと思います。

実際に需要と供給のグラフで分析するとこのようになります。

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普段の需要曲線(緑)と供給曲線(青)の交わる価格で普段は取引がされています。しかし、コロナのように大きな出来事が起きるとマスクを高い価格でも購入する人が増え、需要曲線は(赤)になります。価格は(赤)と(青)の曲線の交わる場所で決まります。普通状態であれば店が値上げで対応しますが、この時期にそういうことはできません。ここの価格の上昇分で利益を得るために、転売目的の買い占めが発生してしまったわけです。

ただ、転売目的の買い占めをするとマスクがいきわたらない人が多く発生します。

多大な人に迷惑をかける行為ですので、やめていただきたいと思います。

2:備蓄について

デマで不安をあおられて買い占めに行く人がでます。

今回もそうですが、オイルショック時にも大震災の際にも買い占めが社会問題となりました。

普通に購入すれば在庫の不足は発生しないのに毎回のように不足が発生しています。

普通に購入すれば大丈夫なことを大多数の人がわかっているのになぜ発生してしまうのでしょうか。

ゲーム理論のモデルを用いて考察しようと思います。

経済学は複雑な実社会を単純化して考えます。

日本に人口は1億人以上いますが、ここでは2人だけの経済を考えたいと思います。

AさんとBさんの2人がこの国に暮らしています。ここで、ウイルスが発生して生活必需品(例えばティッシュ)が不足するというデマが流れるとします。

2人はそれぞれ、普通に買えば物資は不足しないことをわかっています。しかし、お互いに相手がデマだとわかっているかどうかはわかりません。

この時、それぞれどのような行動をとれば自分にとって一番良い結果となるでしょうか。

Aさん・Bさん両方が買い占めをしなかった場合、お互いに十分な量のティッシュを確保できます。

Aさんが買い占めをした場合、Bさんはティッシュが不足して困ってしまいます。Bさんが買い占めをした場合はAさんが困ってしまいます。

両方が買い占めをした場合、それぞれ少しずつは手に入りますが、必要な量には届きません。

さて、2人はどのような行動をとるでしょうか、表にまとめてみたいと思います。

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この中で一番良いのは、お互いに物資が足りている両方が買い占めをしない状態です。しかし、Aさんが買い占めをしないでBさんが買い占めをした場合、Aさんは物資が不足してしまいます。Bさんがどちらの行動をしてくるかわからない場合、Aさんは買い占めをした方が物資が全く不足する可能性がなくなるわけですから、Aさんは買い占めをしてしまいます。Bさんも同じように物資の不足だけは避けたいとなると、買い占めをしたほうがいいわけです。

この選択が買い占めの原因となっているわけです。

頭ではわかっていても、自分が困ることを避けようとすると、買い占めに走らざるを得ないわけです。

※厳密なゲーム理論の分析とは異なる部分もありますが、説明の簡略化のために一部省いています。

ここまででお分かりいただけたでしょうか。

買い占めは感情的な判断に基づいて行われていると思われがちですが、経済の理論に基づいて冷静に判断をしたとしても、自身の利益を一番に考えれば必然的に行ってしまうものです。

混乱に買い占めはつきものですが、混乱が発生しても、物資不足で困ることがないような方法があります。

買い占めの混乱を避けるには

買い占めから生じる混乱をさける、少なくとも自身への被害を最小限に抑えるためには、まず物資不足の状態を起こさないことが重要です。

一般的に言われているものは、備蓄です。

しかし、平常時にたくさん備蓄をしておいたけどいざという時に使えなかった。食品などは期限を大幅に過ぎていた。というようなことが発生するかもしれません。

ここでローリングストックという方法が役に立ちます。

聞いたことがある方も多いと思います。

常に備蓄をしておいて、日常的にその中から使い、使った分をまた補充するというようなものです。

例えば、ティッシュを常に10箱は備蓄するようにしておき、日常的に使うティッシュはその10箱の中から使います。備蓄が10箱を切ったらまた買って補充します。

このようにすれば、常に新しいものを使用できますし、大きな出来事があってしばらく物資の入手が困難になったときでも備蓄があるので安心できます。

今回のものが収まったら、ぜひローリングストックをお勧めします。


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