日記/6月のあれこれ
6月*日
自転車の前カゴに乗せられた柴犬をみかける。見事に、みっしりむっちりとカゴにおさまり、前方を悠然と眺めながら、颯爽と走りさっていく。飛び出しそうな気配はまったくなく、柴犬さんは当たり前の顔で向かい風を受けて座っている。偉いなあと思う。よくおとなしく乗っているなあと思う。ワンコは、ただ居るだけで、偉いなあ、尊いなあ、と思うときもある。そんな視点を自分にも向けられたなら、生きるのもっと楽なんだろなあ、とも思う。
6月*日
ひさしぶりにバナナジュースを作って飲む。凍らしたバナナと無調整豆乳をミキサーにかけるだけの簡単バナナジュース。甘くて、冷たくて、どろりとしておいしい。熟したバナナなので、なにも加えず、バナナだけの甘さだけで充分に甘い。そういや、バナナジュース専門店がいっとき流行っていたけれど、バナナジュース専門店で提供されるバナナジュースって、どんな味わいなのだろうと思う。家で作る素人バナナジュースでも十分おいしいのだから、それを上回るなにかがあるのだろうか。まだバナナジュース専門店のバナナジュースを飲んだことがないので、いつかどこかでこだわりバナナを使った本格的バナナジュースを飲んでみたいなと思う(今日はバナナって単語をたくさん書いたなあ)。
6月*日
大雨が降って、やんで、晴れて、夕方、空が真っピンクになっていた。
6月*日
人混みを歩いていたら、前方からリュックを抱える、いわゆる前リュックをしている人が歩いてきた。すこし大きめの四角いリュックで、メッシュ状の窓がついている。おや?とみると、なかに「にゃあ」と元気そうなにゃんこがいて、興味津々の様子で目をぱちくりしながらこちらを向いている。メッシュ越しにも可愛い顔立ちの猫ちゃんなのがよく分かる。猫ちゃんも飼い主さんも移動中で大変かもしれないけれど、傍で見ている自分はちょっと「うふふ」と思う。
6月*日
網戸を開けたら、するりと蚊が入ってきた。やってしまった、と思うがもう遅い。しばらく家のなかを蚊が徘徊する状態になり、人間は右往左往。蚊避けグッズも手元にないし、とりあえず見つけたら叩こう、と思って、しばらくしたところで母が蚊をバシッとしとめる。まっかな血があふれる。わっ、すごい吸われている。刺された?刺された?と聞いても誰も刺されていない。じゃあ、この血って、一体だれの…?となったときのホラー感といったらもう。
6月*日
アーティゾン美術館で開催中のブランクーシ展に行く。展示室入ってすぐ、フライヤーの顔になっている作品『接吻』が展示されている。今回、ここに来たいと思ったきっかけの作品なので、じっくり鑑賞。あたたかい温度を感じられる、魅力的で不思議な作品だなと思う。
そして今回、ツヤツヤしたものもみたくて来たのだけれど、その欲求を叶えるのに十分なツヤツヤピカピカした作品がたくさん展示されている。自分のなかの彫刻の概念を覆されるようなツヤピカ加減だ(そもそも自分は彫刻をあまり知らないので)。
そして『本質を象る』と題目にあるとおり、限りなく不要な部分をそぎ落とされた作品の数々。
シンプルともいえるのかもしれないけれど、ただシンプルというわけでもなく、エッセンスがぎゅっと詰まっている。初見は「なんだろ?」と首をかしげる作品も、タイトルをみれば「なるほど」とうなずいてしまったり、なんだか不思議。どれもスタイリッシュでかっこよく、でも排他的に尖がっているわけではなく、空間に馴染むような温度がある。理屈を超えたところでの満足感があって、今日、ここまで観に来られて本当によかったなと思う。
あと、これは芸術的観点からはズレた超個人的感想だけれど、思考がごちゃごちゃしている最中の人や、内面的にも物質的にも断捨離したいな、っていう人にもお勧めしたい展覧会だなと思った。なんとなく後押ししてくれるポジティブな作用があるような、ないような、そんな気がしたから。
※展覧会は7/7までだそうです。
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