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エッセイ『ユーハイムのバウムクーヘン』

 いまでこそ、いろんなメーカーのバウムクーヘンを知るようになったけれど、子供のころから馴染みのあるバウムクーヘンといえば、やはりユーハイムのバウムクーヘンだ。

 あの外壁がうすいホワイトチョコレートでおおわれた、木の年輪を思わせる美しいバウムクーヘン。子供心にも「おいしそう」とわくわくした記憶は大人になった今でも変わらず、あのホワイトチョコレートでコーティングされた年輪をみると、なんだか胸がワクワクしてしまう。

 そして子供のころはさして気にもしていなかった原材料だけれど、大人になった今は、やはり体に入れるもの。なにで作られているのかは気になるところ。というわけで、もはや習慣的に原材料のチェックをしてしまう自分がいるのだが、「おっ」と思うのはユーハイムのバウムクーヘンには添加物が一切使われていない。

 それは、「添加物に頼らず自然をそのままいただくのが、お菓子の本当のおいしさである」というユーハイムのお菓子哲学のもと、自然に逆らわないお菓子作りを実践されているからで、それゆえユーハイムのバウムクーヘンの年輪模様はすこし歪んでいる(乳化剤を使っていないからだそう)。でもその歪みこそが、安心で自然な味わいを追求している表れなのかもしれない。

 そして実際、口にしてみると、ユーハイムのバウムクーヘンにはほっとするような優しい味わいがある。ホワイトチョコレートがかかっているので、一見、結構甘いのかなと思いきや、甘さはいたって上品で穏やか。生地はしっとりしていながら、空気を含んだようなふんわり感だ。おいしくって、ついペロリと食べてしまう。

 そんな、むかしから今にいたるまで安心して味わえるバウムクーヘンは、思うに、ただおいしいだけではなく、真面目で誠実なバウムクーヘン、ともいえるような気がするのだ。

年輪、つい剥がしたくなっちゃう

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