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トイレの夢

寝る前に水分を結構とってしまうせいか、真夜中や明け方に一度、トイレに行きたくて目を覚ますことがある。そしてそんなときはかなりの割合で、夢のなかでもトイレに行きたくなっている。けれど、どうしたって行けない。夢のなかで尿意を感じてトイレを探すのに、あの手この手でトイレに行かせてくれない。それで目を覚ましてようやく用を足してすっきりするのだが、それにしてもよくもまあ、夢のなかではあの手この手でトイレに行かせてくれないものだなあ、と自分のことながらちょっと感心気味に思う。

記憶にある今まで見てきた夢のパターンは以下のとおり。

トイレに行ったら、とてつもない長い行列ができていてなかなかトイレに行けない。

トイレが道の向こうのはるか遠くにポツンとあって、そこまでなかなか辿り着けない。

トイレがそこにあることは認識しているのに、行く過程が迷路みたいになっていて辿り着けない。

トイレが五十メートルほど先にあるのが分かるのに、行く手を阻むみたいにススキみたいな草がぼうぼうになっていて足が全然前に進んでくれない。

トイレが天空の城ラピュタみたいに空高くに浮かんでいて、自分はただ見上げて呆然としているだけでそこに行けない。

トイレに行って便器のなかをみたら青空で、足がすくんで怖くて用を足せない。

扉をあけてトイレに入ったものの、なかに仕切りがなくて、隣もその隣も丸見えで落ち着かなくて用が足せない。

トイレを見つけたけど、スケスケのカーテンが扉代わりになっていて恥ずかしくて用を足せない。

トイレに行って便器のなかを見たら先客の大きな方の忘れ物が堂々とあって気分悪くて用が足せない。

などなど、たぶん思い出そうとしたらもっと出てくるかもしれないくらいに、夢のなかではいろんなシチュエーションでトイレに行かせてくれないのだ。けれど、もしこれ、夢のなかでトイレに行ってスッキリしちゃったらそれはつまりお漏らしになっちゃうのかも、とも思うので、おそらく大人の理性がそれを抑えるべくあの手この手で阻止してくれているのだろうなあと思う。なので、ある意味トイレの夢って、「早く起きてトイレに行って!」というありがたい尿意メッセンジャーともいえるのかもしれない。

そしてちょっと前、また新たなパターンのトイレの夢を見た。
なぜか分からないけれど某芸能人と一緒に電車に乗って出かけていて、するとその芸能人が急にトイレに行きたいと言い出した。ので、駅に降り、急いで駅前のトイレに行くのだけれど(私は外で待っている)、しばらくするとその芸能人が困った顔をしてトイレから出てきて、「全部埋まっていてトイレに行けない!」と大慌てするーと、そこで目が覚めた夢だったのだけれど、起きたら実際、トイレに行きたいのは当然自分だったのである。これはつまり、自分の尿意を他人の尿意に置き換えた図々しい夢で、ついにトイレの夢のシチュエーションもここまで広がったか、と我ながらちょっと驚いてしまったのだった。

ともあれ、トイレの夢の広がりもいいけれど、そもそも夜中や明け方に目を覚まさないよう、水分の量をもうちょっと抑えた方がいいのかも。


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