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大切なポストカードたち

子どものころからポストカードが好きだった。
旅先で、雑貨屋で、美術館で、見つけた素敵なポストカード(あるいはDMなんか)の数々を集めてきた。

でも気がつくと、それらはただの眠った大量のコレクションになっていて、大学を卒業するあたりにいったん集めるのをやめて、整理することにした。
本来の役割である手紙として使用してみたり、贈り物に添えるメッセージカードにしてみたり、メモ用紙代わりにしてみたり、あるいは絵画として部屋に飾ってみたりするなどしてポストカードを眠りから覚まして活用し、それでもいくつか使いみちのないものについてはやむなく処分もした。

もちろん、当時集めていたなかで気に入っていたものは、今も大事に保管している。

そして整理期間を過ぎてからしばらくのあいだはなるべくポストカードを買わないようにしていたのだけれど、やはりまたすぐにポストカードが欲しくなった。といっても、やみくもに何でも欲しがるのではなく、自分のなかでなるべく厳選したものだけを手にとるようにと心がけた。けれども気に入ったものを見つけたときには、今も変わらず数枚まとめて購入してしまうのだけれど。

ポストカードは今、主に、鑑賞用に購入している。

もちろん本来の役割を与えるために購入する場合もあるけれど(誰かに送るために選ぶのはとてもたのしい)、多くは自分の机まわりを飾るために選んで購入している。

あんなに小さな厚紙のなかに、世界がたっぷり詰め込められているなんて、ポストカードは本当に素晴らしいものだといつも思う。

たとえば美術館で観た絵画が、10cm×15cmほどの大きさのなかにすっかり収まっている。どんなに美しい絵画であっても、大きさそのまま部屋に飾れば仰々しくなるものであっても、ポストカードであれば大きさ・値段ともに気軽にたのしめるし、気が変われば入れ替えだってすぐに簡単にできる。

好きなイラストや写真や絵画を、自分のたのしみのために、あるいは誰かへ気持ちを伝えるために、こんなふうに色々選べるなんて、ポストカードはとても素敵な発明だと思う。

ちなみに今、自分の机まわりの壁にもポストカードをいくつか貼っている。いわさきちひろのりんごと天使を描いたものと、ディックブルーナの七人の小さな天使を描いたものと、鈴木理策さんの花の写真と、クライドルフの花の妖精を描いたもの。それらを壁にそのまま飾っている。

そして机上にもいつも必ず一枚、カードを飾っていて、今は西淑さんのホットケーキを描いたカードで、少し前までは三好貴子さんのバレリーナと猫を描いたカードを飾っていた。

壁にあるものも、机上にあるものも、どれもずっと同じカードを飾っているわけではなくて、気分によってときどきカードの入れ替をする。するとあんなに小さな面積にも関わらず、部屋全体の空気がすこし変化するのだ。気分を変えたいときに、だから意識的にカードを替えてみるときもある。なので、お気に入りのポストカードは常にいくつかストックしておいて、自分のなかでゆっくり循環させている。

小さな世界から発せられる、優しい世界や物語。
そのどれもが魅力的で美しくてたのしくて、だからこれからもやっぱり、ポストカード探しはやめられないのだろうなあと思う。

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スイスの絵本画家 クライドルフのポストカード

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ミッフィーで有名なディック・ブルーナのポストカード

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デザインや写真が気に入ったDMも大事にとってある

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他にもお気に入りのポストカードはたくさんある
仮眠中のものも含め、どれも大切なポストカードたちだ

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お読みいただきありがとうございます。