創作怪談『一人暮らし』

  ワンルームのアパート
そんなに新しくもないし、めちゃくちゃ綺麗でもないが、特に不便は無い物件だ。
  今年から俺は、念願の一人暮らしをすることになった。不安もあったが、正直ワクワクしていた。

必要最低限の家具は揃っている物件だったので、
そんなに広くないワンルームにそこまで物を持ち込むのも面倒だろう。
そう思って、服やどうしても読みたい漫画。
買うのもお金がかかるので、布団やラグ、1人がけ用ソファーなんかは、元々使っていたものを持ってきた。
食器などは100円ショップで揃えて、なるべく安く済ませ、適当に必要そうな掃除用具や食品や消耗品なんかも購入した。
   
     朝一番で行動していたが、いつの間にかお昼すぎになっていた。
手続きやなんかもあって、役所や色んな所を行ったり来たりしたし、かなり疲れた。

   とはいえ、持ってきたものを整理しないと気が済まない。
今日は見たいテレビがあるから、19時までには終わらせたかったのもあった。そんなに大きくは無いが、テレビを独占して見れるのだ、ちゃんと環境は整えたい。

   軽く掃除をし、ラグを引いたり、ソファーはテレビの真ん前に置いた。

備え付けのベッドの上に布団を敷いたり、元々部屋についていた簡易的な本棚に、漫画を並べた。
日々使うようなものは、一旦適当にテーブルにおいて、食器は一応あるキッチンの戸棚にしまい込む。
しまった、食器は買ったのにキッチン用具を買っていない。
包丁やまな板の存在さえ頭から抜け落ちていた。
仕方ない、また明日にでも買いに行こう。
そう決めて、トイレにペーパーを置いたり、風呂にシャンプーやボディーソープなど、必要なものも適当に置いていった。
本当に必要最低限の生活ができるぐらいの部屋が出来上がった。

急いだおかげか結構早く終わった。
テレビをつけて、見たい番組のあるチャンネルに合わせ、それを見ながら早めの夕飯として、買ってきていた、コンビニ弁当を食べる。

夕飯を食べ終わると、疲れていたせいかそのままソファーで寝てしまっていた。

どうしても見たいテレビだったから、携帯で毎週この曜日には、5分前にアラームをかけていた。
そのアラームで飛び起きる。
危ない、見逃すところだった。

テレビをつけると、丁度見たかった番組が始まるところだった。

1秒でも見逃したくなかったから、ほっとしつつ、ソファーに座り直す。


今回、『意味がわかると怖い話』っぽい話を考えてみました。




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