人生史に残る友人と、渋谷のカフェで独立宣言をした話。
「将来的には独立したい!!!!」
と、わたしの目の前で令和の若者には珍しい出世意欲を語る女の子は、わたしの人生史に残る大友人である。
彼女との出会いは約13年前に遡る。
わたしが小学校3年生の時に転入した小学校に、彼女は5年生の時に転入してきた。
彼女の父親とわたしの父親は同じ会社に勤めていて、わたしが住んでいた社宅に彼女が越してきたからなんとなく仲良くなったんだと思う。
小学校の先生曰く、わたしは彼女と仲良くなってから「驚くくらい変わった」らしい。
彼女は、思ったことは言うし、やりたいことはやる。素直で実直なタイプだった。
彼女は、転入してきて1発目の授業で、肘をピンと伸ばしてこう言った。
「先生、そこは意味が分かりません。」と。
日本の小学校あるあるだと思うが、「分からない人いますか?」と聞かれてパッと手をあげられる生徒はまあ少ない。みんな授業が終わってからこっそり先生に聞きに行く。日本人は、と言ったらデカ主語すぎかもしれないが、「分からないことは恥ずかしい」と思いがちである。
その時は、なんか凄い子だなあと思った。アメリカから越してきたから、アメリカンスタイルなのかなと思っていた。
だけど、気付いたことがあって、
彼女のお陰で授業がみるみる楽しくなるのである。
彼女が、「分かりません」と言うと、次々と
「私も分からなかったです」「僕も」という声が上がって、
先生が楽しそうに解説をし始める。彼女1人のおかげで、授業にめちゃめちゃ活気が出た。
そんな彼女はその太陽のような性格に似つかわしく、チアリーディングクラブに所属していて、
その振り付けをわたしに教えては褒めてくれて、わたしも一緒に踊りたいと思い始めた。
けれど、幼い頃から引っ越しが多かったからか、受け身で大人しくて、やりたいことをやりたいと言えないタイプだったわたしは、「わたしはチアとかそういうタイプじゃないから」と言っていたけど、
「なんで!!!良いじゃん!!!上手いよ!!!!一緒にやろう!!!!!」
と言ってくれて、小学校5年生の時点で人生最大とも言える決断をしてチアを始めた。
ただ、本当にそんなキャラじゃなかったから、周りに何か言われるんじゃないかとビクビクしていたけど、
良い意味で、周りはわたしのことをそんなに見ていなかった。笑
なんだなんだ、やりたいことやってけばいいじゃ〜ん
誰もわたしのことなんて気にしてないじゃ〜ん
と思えるようになったのには、確実にこの経験がある。
今日、久しぶりに彼女に会った。
あの時と何も変わらず、よく笑い、よく食べ、よく働く女性である。
彼女がパンプスが欲しいと言うので入った靴屋で、
「サイズいかがですか?」
「なんか…ピッタリイイイイイイって感じです!!!!この靴だとシンデレラになれそう!ってくらい!アハハハハハハハハハハ!!!」
とんでもない。
恥ずかしいからやめてくれ。
と口では言いつつも、内心、研修中の名札をしていた靴屋のお姉さんを爆笑させてしまった彼女の隣にいて、
こんな友達がいて、羨ましいでしょ。
と自慢してやりたかった。
社会人になってまだ2週間なのに、独立を宣言して会社名まで考えているのもかなり彼女らしいが、
わたしも彼女が立ち上げる会社で一緒に働くことを約束した。彼女と一緒に働くのは、かなり楽しそう。
やりたいことはやりたいし、楽しそうなことは楽しそう。
それだけのことだね。
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