家業のこと①
うちの仕事は所謂でんき屋。
創業45周年。創業したころは高度成長期~バブル経済期にかけて。今とは時代が違う。
高くても売れる。商品を客のところに置いてくるだけで売れたことになる時代があったらしい。おじいちゃんの時だよ。
今から考えたら意味が分からないけどね。
支店も2店舗あって、私が生まれた直後にオトンが1店舗任されていた。
さぞ大変だった、という話をいまだに聞かされる。
数字ばかりを追いかけても、あほみたいな安い給料でも人が動かせた。
そんな会社だったらしい。
おじいちゃん、完全なワンマン社長で、気に入らないことがあったら怒鳴りつける、今考えれば完全にパワハラ。
それでも物が売れて、人が動いた。
そして、オトンが社長になったのは15年前かな。
バブルも崩壊して、世の中が不景気って言われていて。
おじいちゃんの時にやってた商売では成り立たない時代。
めちゃくちゃ衝突しながらオトンはオトンの商売を確立していったのだと思う。
あった支店2店舗もたたんで今は1店舗。
モノ売りから、寄り添う仕事になっていってるというのは肌で感じるところ。
家電を「売る」だけじゃないでんき屋と自負できるところまで来たと思う。
というのも仕事は多岐にわたる。
家電の設置とか販売とか修理はもちろん、介護の相談を聞いたり、手すりとかの設置をして介護申請をしたり、
遠方の家族からこっちに住んでる親のことを頼まれたり、
高齢になったから草刈りを手伝ってくれ、と言われたり。
介護のこととか。家電販売店のやることじゃないだろって思うと思うけど、そこのボーダーラインってあいまいなんよね。
ヘルパーの資格持っててよかったと思うよ。本当に。
そのほかにも、店が比較的広いから、店でお料理教室をやったり、警察官とか呼んで防犯教室やったり、介護士さん・包括センターの人を呼んで介護相談を受けたり。
人のいらないものを集めて、新たに欲しい人が持って帰る、エコバザーみたいなこともしてる。
本当にいろんなことをしてると思う。
家電なんて、ネットや量販店で買えば安いことくらい私たちもわかってるけど、値段じゃないところでうちの店をかってくれる人もたくさんいるんだよね。
そりゃ儲かってはいない。大変なことはたくさん。
オトンとそりが合わないときはつかみ合いの喧嘩になることもある。
社員だって使いづらい(これは私の問題でもあるけど)
あとよく言われるのが「甘えてる」「家だから楽でしょ?」。
ねーよ。
相続とか、経営とかめちゃくちゃこれから乗っかってくるんだよ何が楽だよって言いたいよね本当は。
言わんけど。
でもね~、綺麗ごととかじゃなくてこの仕事は好きだし続けたいし、なくなってはいけない仕事だと思うんだよ。
AIが発達してもなくならない仕事でありたいと思うよ。
今の仕事が「好きじゃない」っていう人が多い中、こんなに「やめたくない」って仕事が家業でよかったと思うよ。
でもなぁ。
今は両親が健在だから甘えていられるけど、こっから先だよ。
本当は一緒に仕事ができる人をパートナーにしたいけど、こればっかりは難しい。
好きだけどしんどい日々が続く。