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【MOGUMOGU食べ歩きくま】かわいらしいキャラクターとおいしいもので自分を満たそう

※SHElikesのライター入門コース「好きな本をおすすめしてください」で提出した課題を修正したものです。


「食べ歩きくま」と「自分ツッコミくま」


「MOGUMOGU食べ歩きくま」は、おいしいものを素朴でかわいらしいイラストとともに味わえる漫画です。 

「MOGUMOGU食べ歩きくま」は、週刊漫画誌「モーニング」の電子版「Dモーニング」で連載されていた漫画です。現在連載は終了しているのですが、単行本が全部で3巻出版されています。

この本では、LINEスタンプとして人気を集めている「自分ツッコミくま」がキャラクターとして登場します。この「くま」がナガノ氏というていで1話完結、もしくは前編後編に分かれたストーリーが進んでいきます。


作者のナガノ氏が実際に訪れている


ナガノ氏は東京に住んでいます。そのため、豊洲やスカイツリーなど、東京のおいしいお店や食べ物について描かれていることも多いです。

単行本3巻では、お台場を訪れています。その際に向かったのが、「お台場たこ焼きミュージアム」という、東京にいながら大阪の味を楽しめるフードコートです。

大阪は、東京に住んでいればなかなか行く機会はおとずれません。それを近場で楽しんでいる姿には、「自分も近くで探してみよう」と食への探求心をかきたてられました。

しかし、このお台場の話のメインは、なんとたこ焼きではなくカレーです。このカレーを食べるために、朝からなにも食べていなかったというので驚きです。カレーにかける強い想いが伝わってきます。

「インド式カレー夢民」というお店です。このお店はもともと西早稲田で38年間営業されていましたが、2012年に閉店。しかしその後、お台場のフードコートに復活したという歴史のあるお店です。

お店の情報を知ったうえでカレーを味わう感動や、西早稲田当時から続く食後のコーヒーサービスに馳せる想い。手書きで描かれた文章から、それが手に取るようにわかります。

東京以外の場合は、目的の場所のほかに、そこへ行くまでの過程で出会った食べ物についても描かれています。1泊していることが多く、基本的に前編後編にまとめられています。

単行本3巻に、福岡の話が掲載されてます。福岡へ訪れた際には、カフェ、ラーメン、もつ鍋、明太子、そしてお土産にさらに明太子を購入していました。この話題は前編後編に分かれていますが、2話にまとめるにはかなりの中身がつめこまれています。

ナガノ氏が辛い物が好きだということもあり、とくに明太子が気に入ったように見受けられました。もつ鍋を食べに入った飲食店でも食べていますし、お土産にも購入しています。

お土産の明太子を購入するために、博多駅ではたくさんの試食をしたようです。辛い物をたくさん食べていると、舌が麻痺してだんだん味がわからなくなってきます。味がわからなくなる前に平塚明太子の激辛を購入。

激辛を選んでいるところからも、ナガノ氏が辛い物が好きであるということがより顕著にうかがえます。このことから、辛いものがテーマの話も多いです。千葉の勝浦タンタンメンを食べる際にも、激辛を注文していました。辛いものが好きな方であれば、この本を読むことで新しい発見が得られるかもしれません。

連載の終盤、新型コロナウイルスの流行が起こります。それにより、なかなか外でおいしいものを楽しむことができない状況が続きました。

番外編として、デリバリーや家で楽しめるものがテーマのものが多くなりました。現在は、ウーバーイーツのサービスが東京では当たり前に普及しています。そのことからも、東京に住んでいるナガノ氏はデリバリーをしやすい環境にあるようです。

デリバリーのほかに、シャンパンを家で楽しんでいました。普段シャンパンは、居酒屋やバーで楽しむことが多いのではないでしょうか。自分で買う際に、店員さんから話しかけられたときのあわててしまう気持ちや、味の違いがわかる大人になりたいがわからないというところに親近感を覚えました。


おしゃれすぎず、親しみやすい


この本は、イラストから文字まで、すべて手で描かれています。写真やデジタルなものがないのです。キャラクターも丸みを帯びており、角のない柔らかな雰囲気がかもしだされています。

食べ物のイラストもとてもおいしそうです。登場するキャラクターのくまやもぐらコロッケは、とてもシンプルな見た目で、色も単色。そのため、食べ物の色がよく映えます。

作中に出てくる効果音は、「ハギハギ」や「ぱぅ」など、ものを食べる効果音としてはあまり聞かないようなものが多いです。しかしそのオリジナルの表現がなんとなくわかるような、共感ができるものなのです。

そのほかにも、ほかのお客さんが常連にみえて感じる疎外感や、緊張感。ジャンクフードをお腹いっぱい食べたときの背徳感。これがかなりリアルに文章化されています。共感を覚える読者も多いのではないでしょうか。

すべてが手書きであることや、キャラクター、効果音、共感しやすい心情描写が、一貫した「ナガノワールド」を作り上げているのです。

普通の旅行雑誌とは違い、日常のおいしいものの食レポが描かれています。おしゃれなお店を訪れることもあります。しかしそれよりも、ホテルで朝ごはんにカップラーメンを食べたり、冷凍庫で化石になった食パンを食べたりするシーンもあり、庶民的で親近感がわくものがテーマであるものが多いです。


まとめ


特別高くて、おしゃれなお店でキラキラしたものではなくても、日常の中においしいものがたくさんあります。そのことを改めて教えてくれるこの本を読んで、日常を食べ歩いてはどうでしょうか。







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