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(10)フリーハグ「心を通わせ合う力」を私たちは生まれながらにみな持っている


平和とは。


私は、大学で教職課程と国際協力を勉強していたこともあり、貧困や紛争や格差などのトピックに触れる毎日で、いつか平和な世界をつくれるのか?一体何をすればそんな世界が来るのか?と、漠然と考えてた。

そんなあるとき、「そもそも平和ってなに?」という疑問が生まれた。ただの概念でしかないし、人それぞれ心の中で平和の定義も違う。人々の中で定義が違うものを作っていくことなんてできるのか、などと思っていた頃、たまたまYouTubeで桑原功一さんという人のフリーハグの動画を見かけた。


目の前に平和な世界を創り出す行為「フリーハグ」


フリーハグとは、見ず知らずの通りすがりの人とハグをすることだ。
動画には冷たい目で見ている人、存在していないかのように素通りする人、馬鹿にしたように笑う人も写っていた。でもそれは全員じゃない。必ず誰かには気持ちが届いて、応えてくれる人がいる。

「国」同士では問題を抱えていても、
「人」同士はハグしあってお互いに笑顔になっていた。


温かい気持ちになって見ていた私は、気付いたら涙が止まらなくなっていた。自分にできる平和構築ってなんだろうって悩んでいたけど、フリーハグの行動ひとつで、ちっちゃな平和が自分の目の前に生みだせるんだと思った。

フリーハグは誰にでもできる。ただ少し勇気がいるだけ。だったらやるしかないと思った。

ピースボートの1カ国目、中国で


一人でフリーハグするつもりでピースボートに乗船した。やるなら中国と、国を決めていた。あえて国家間ではいろいろある国でやりたかった。

そしたら船の上で出会った仲間が一緒にやりたいと言ってくれて、5人ですることに。しかも、浴衣なら注目してもらえるかも、というアイデアが出て、私たちは浴衣で行くことにした。当日は朝から雨。しかもめちゃさむい。正直、浴衣で行くのをひるんだ。でも後になってみれば、100人以上もの人とハグができたのは、浴衣のおかげだったかもしれない。

私たちの周りには写真をとる中国人が集まってきてくれて、こちらからハグしようってジェスチャーをするとだいたいの人がハグをしてくれた。もともとイメージしていたフリーハグは、一人でスケッチブックを掲げながらハグしてくれる人を「待つ」スタイルだった。だけど私たちは、気付けば浴衣を着て観光地を練り歩いていた。
雨が強いときはショッピングモールの中でもやった。街中の通行人だけでなく、お店で働いている人ともフリーハグをした。


だんだん楽しくなったわたしたちは、ええい!って勢いと勇気で自分たちから「フリーハグしよう」と歩み寄って、ハグするようになってった。時には照れてニコニコしているけど恥ずかしがり、逃げようとするおじちゃんを女子三人で取り囲み、こっちからハグしたりもした。きっとこんな日本人は、今までに見たことなかっただろうと思う。


自分から歩み寄るからこそ初めてわかる相手の感情・考え方・気持ちがあるってことに気づけた。中には強面で怖い人かなって思いきや、カタコトの日本語で「ニッポン、チュウゴク、トモダチ」って話しかけてきてくれた警備員のおっちゃんもいた。それを聞いて心の底から湧き上がるものがあって、涙が出そうになった。「ありがとう」って何回も言った。

みんなおんなじ、ただの、「にんげん」

他にも本当にたくさんの人がハグしてくれて笑顔を見せてくれて、ハグしている私たちを見て、微笑んでる通りすがりの人もいた。連絡先を教えてほしいって声をかけてきてくれた女の子もいた。フリーハグをしながら「この空間いま、めっちゃ平和じゃん」ってすごく思った。小さくとも、自らの手で、目の前に平和を生み出すっていう、わたしの夢が叶ってるって思った。

言葉が通じなくたってこんなにも繋がれる。肌が触れ合うコミュニケーションだからこそ生命体レベルで喜びを感じられる。わたしはこういう、文化や人種や国といった、垣根を超えて、こころ繋がれることが心底喜びなんだなって思った。幸せでしかなかった。


フリーハグをしてみて、ほんとに、こころから、人種とか国籍とかの前にみんな「人間」、同じ地球に生きる「仲間」そう感じた。

今も世界のどこかには争いがあって、人間同士がぶつかりあって、憎しみが生まれてる。だからこそ、せめて自分の目の前の世界だけは、自分の目の前の人とだけは、温かい気持ちで繋がっていたいと思った。

わたしはのちに「きぼうのいえ」というドネーション制の宿をやるのだけど、その時も、同じ根源の想いがあった。きぼうのいえでは、もうひとつの世界をつくろうって。自分が望む、平和でやさしくて、あたたかくて、人と人が垣根を超えてつながれるような、そんな空間を目の前に生み出そうと、そんな想いから宿をやった。


結果、最高な景色、美しい景色、涙あふれる景色、あたたかく触れ合う景色に溢れた空間となった。フリーハグはまたいつか、どこかでやりたい。


フリーハグの体験を書いた当時の記事↓

https://tabippo.net/peaceboat-freehug/

とってもよろこびます♡