何千万年時は過ぎ
めぐる風は伝えゆく
遠い昔誰かが知った
かの国の滅びへの飛翔を

汚れ無きを謳った王の罪
純白の病が国を蝕む
潔癖さは強情な城壁となり
拒めば拒むほど病は進む

誰も気づきはしない
清めることこそ昇華と信じ
崇め奉るは我らの清き純血の国王
白き祈りは王の望みへ
王の望みは民の武力へ

異物となった異邦人
寄り添い歩き荒野に散らばる
錆びた大地に降りた彼らは
国を求めて流浪の民へと

黒を追い出した純白は一層白く
その純真は薄紙のように滑らかで
無垢であるほど脆さを忘れる

終焉はじわりこぼれる雫のように
薄紙に染みを広げ穴を作る
透明な死に神に攫われる民
汚れを恐れて穴を塞げない

その先には純白より清らかな色
死に神は甘い言葉で王を惑わす
清き無垢なる国の王は
その無垢さ故に死に神の手に落ちた

そして誰もが天使になった

偉物となった異邦人が
寄り添い歩きたどり着く
枯れた瓦礫の間から
垣間見える白の果て
王の成した純白という罪の跡を


*2006~8年くらいの作品
架空の王国の物語

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