妊娠ってこんなんだったのか!⑨


6.マイナートラブルってなんぞ

よくネットや雑誌などを見ると「妊婦のマイナートラブル」という言葉を目にする。

私も妊娠してから初めてこの単語を知ったのだが、

マイナートラブル=妊娠に伴って生じる様々な不快症状のこと

を言うとのこと。


そこでまず、マイナートラブルとしてよく挙げられるものを以下に列挙してみるので、ざっと目を通してみてほしい。


消化器症状:のどの渇き、腹部の締め付け感、便秘、吐き気、食欲増進など

泌尿器/生殖器:頻尿、帯下の増加、尿漏れ、胸の張り、性欲退感

関節系:肩こり:骨盤の痛み、腰痛、下肢のだるさや痛み、こむら返り

全身/精神:疲れやすい、だるい、強い眠気、熟眠困難、入眠困難、イライラ感、うつ気分、物忘れ、心配性

循環器:動悸、息切れ、めまい、立ち眩み、下肢のむくみ、体熱感、多汗

皮膚/感覚器:皮膚の乾燥、匂い過敏、味覚の変化、色素沈着、体毛増加


そして、ある論文によると、マイナートラブルTOP10は以下の通りである

1位:疲れやすい(94.4%)

2位:頻尿(92.9%)

3位:全身倦怠感(92.1%)

4位:腹部の締め付け感(88.9%)

5位:強い眠気(85.6%)

6位:のどの渇き(85.1%)

7位:帯下の増加(83.1%)

8位:性欲減退感(81.1%)

9位:排便困難感(80.6%)

10位:イライラ感(80.3%)

引用:新川治子ら(2009)現代の妊婦のマイナートラブルの種類、発症率及び発症頻度における実態調査 日本助産学会誌 J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 23, No. 1, 48-58, 2009

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjam/23/1/23_1_48/_pdf



「えっっ、多すぎじゃない?」「上位とかほぼすべての人が当てはまってるやん」そう思った方もいるだろう。もちろんこれらのマイナートラブルは全てその症状が出るわけではないし、なる人もいればならない人もいる。


しかし、妊婦さんはこれだけ多くの不快症状が嵐のように襲ってくる。つわりも合わせると、もう妊娠しているだけで、毎日生きているだけでで辛い。


当の私も、妊娠してからさまざまな症状が一気に出現、コントロールできずに毎日めげそうになった。妊娠前の身体がいかに快適だったか、いかに楽だったか恨めしくなるほど常に不調だった。「妊娠前に戻りたい」何度も何度も繰り返し思った。

妊娠をきっかけに様々な症状が噴出し、対処しても対処しても治まらない。私の身体はまるで山火事のようだった。「私の身体は一体どうしてしまったのか」「自分の身体なのに自分の身体じゃないみたい」「初めての症状がどんどん出てきて途方にくれる」そんな毎日。


以下では参考として、私の身体に具体的にどのような変化が起きたのか記載してみる。


【疲れやすさ、動悸】

妊娠後半、それはそれは体が鉛のように重かった。お腹が重いのも相まって、5分歩けばふぅふぅ息が上がった。歩くスピードがガクンと落ち、旦那に「ごめん!!もっとゆっくり歩いて!!」と何度お願いしたか。


【便秘】

妊娠前あんなにも快便だったのに、急に出なくなった。「そのうち出るか」とほったらかしにしていた私。ある日猛烈な腹痛に襲われ、嘔吐し失神した(私は何年かに1度、便秘で腸に血液が集まるとぐっと低血圧になりぶっ倒れるやつになる)横にいた旦那、救急車を呼ぶか迷ったほど焦っていた様子。

また、とある日はトイレにこもって汗を噴出しながら2時間便意と格闘するも出ず。最終的には泣きながらセルフ摘便する羽目になった(人生の汚点)辛くて情けなくて、どうしようもなくて先生に酸化マグネシウム錠処方をお願いした。


【尿漏れ】

爆笑した時、くしゃみをした時、「!?!?」ほんの少し尿漏れすることがたまにあった。あるとき旦那とTVでお笑いを見て爆笑した瞬間に尿漏れ、一瞬フリーズした私を見て旦那が「どうしたん?」笑い泣きか悲し泣きか「漏れたあ」旦那が笑ってくれたからよかったものの、これも地味に屈辱的。


【尾てい骨の痛み】

これは安定期、めちゃめちゃ辛かった。歩くたびにビキビキ!!雷に打たれたように尾てい骨が痛んで、「うっ!!」と言いながら営業した。これは子宮が大きくなっていくことによる痛みだそうで、耐え難すぎたので骨盤ベルトを毎日きつく締めて歩くようになった。ただ、トイレのたびに締めなおすのが本当に面倒だった。


【熟眠困難、入眠困難】

臨月に入ったとたん、寝つきが非常に悪くなり、寝れても2~3時間以上続けて寝ることができなくなった。里帰りして生活リズムが崩れたのかと思いなんとか矯正を図るも失敗。そのため、1日3回ほどに分けて2~3時間睡眠をとるようになった。朝方や昼間、夕方に少しづつ寝る生活は想像以上に辛かった。調べたり友人に聞いてみたところ、どうやら出産が近くなると身体が出産後の授乳リズムに移行していくためにこうなるらしい。出産の恐怖におびえている私だが、知らないうちに身体は着実に母親になろうとへ変化しているらしい。これは本当に目からうろこである。


【皮膚の乾燥、体熱感、多毛】

軽度のアトピー持ちの私だが、安定期以降これが大爆発。全身に湿疹が生じ、3時間ごとに保湿クリームを塗らなければ体中乾燥してパリパリと皮膚がつっぱり猛烈な痒みが襲った。かゆくてかゆくて眠れず、起きたときにはと身体中掻きむしって血だらけになった。マイナートラブルの中でもこれがダントツに1番辛かった。妊娠中のため内服の抗アレルギー剤も弱いものしか飲めず、爪を短く切り、営業車やリビング、寝室など至る所に保湿クリームを設置し現在も耐えている状況。

また、夕方以降に前触れもなく身体じゅうが火を噴いたように熱く火照りだし、汗だくになることが続いた。身体が熱くなり汗をかくと痒みが増強され、もはや地獄。こうなったときは、さっさとお風呂に入って汗を流し身体を冷やした。

さらに、これは多くの妊婦さんが経験することと思うが、なぞにめちゃくちゃ毛深くなった...!! 特にお腹!!  毛深くなかったはずなのに、お腹は獣のように波打つ毛が出現、気が付いた時にお腹の毛を剃るようになった。たまに剃り忘れて健診に行ってしまい、エコーの際にお腹を出したときにぎょっとし恥ずかしい思いをすることも。



振り返ってみると、私も多くのマイナートラブルを抱えていたようだ。

妊娠しつわりに耐え、食事制限や体重コントロールをし、臨月にはカボチャ2つ分の重さの大きなお腹を抱え、横になっても歩いても立ち上がるのもしんどい状態なのに、こんないやーな症状が続く。

臨月を迎えた今、「出産は怖いが、早く産んですっきりしたい」という矛盾した気持ちを抱えるようになった。


つわりだけがしんどいわけじゃない。にこにこしている妊婦さんも、毎日毎日陰でマイナートラブルと戦っているのだ。

どうか旦那さん、周囲の方々。出産が終わったときは、主役はどうしても赤ちゃんへになり、贈られるプレゼントも赤ちゃんのためのものがほとんどだと思う。しかし、是非!!頑張った妊婦さん自身にも「10か月もの妊娠期間、そして出産頑張ったね」といたわりの言葉をかけたりプレゼントをあげてほしい。




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