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『質問力 話し上手はここがちがう』斎藤孝

いつもは顔をしかめて近寄らないタイプの本のタイトルがやたら目につき、買って読んでみたら結構面白かった。

対談やインタビューなどで無意識のうちに気を取られてしまうのは質問を受けた側の「答え」の部分であることが多い。答えが興味深いものであればなおのこと。しかしその面白い答えを引き出した「問い」というものがあるわけで、問いの内容によって答えの質が大きく変わることもままある。
この本では、河合隼雄と吉本ばなな/手塚治虫と北杜夫/古田敦也と周防正行/宇多田ヒカルとダニエル・キイスなど、様々なジャンルや年代の著名人同士の質の高い対談の例を挙げ、その中でなされた質問の優れた点を分析し、どのように問いを展開させればコミュニケーションが深まってゆくかといった方法を述べている。

書中で挙げられている対談の話者たちが元々博識で、事前に相手のことを勉強して対談に臨んでいるので会話の深度がかなり深い。その上で「私はこう思うが、あなたはどう考えるか」という投げかけをしている。自分の持ち得る知識を並べ立てるだけの会話に終始せず、相手の置かれた状況や文脈を尊重しながら互いの経験世界を擦り合わせてゆく。質問の技術、という言葉だけ聞くと手練れの戦術のようなイメージを抱きがちだが、要は目の前にいる相手にまず興味を持つこと、そこさえ意識していれば肩肘張って構えずとも自然と良い質問は生まれてきそうだなあ〜と思いました(まとめ方が雑)。

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