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We are, in a sense, whom we hang out with. をどう考えるのか

川崎医科大の長文に、We are, in a sense, whom we hang out with. という一文がある(問題では、in a sense の箇所が空所補充問題となっている)。この一文はどう解釈すればいいのだろうか。以下、考えてみた。

[1]You are what you eat.

英語には、You are what you eat. という言い回しがあり、「人の健康は食べ物次第だ」などと訳される。この表現は、主語に人間一般を表すyouやweを置き、補語にwhat節を置く。そして次のように考える。

 「私たちは皆私たちが食べるところのものだ」
→「私たちは食べるものによって作られる」
→「私たちの健康は何を食べるかによって決まる」

つまり、この形は〔人間一般+be動詞+人間のあり方を構成するもの〕という意味となっており、それを〔We[You] are what節〕として表すのだ。

We[You]+be動詞+what節
We[You]=人間一般
what節=人間のあり方を構成するもの

[2]You are what you wear.

さらに、You are what you wear. ということわざがあり、これは、Clothes make the person. とも言う。このことわざは、文字通りには「衣服が人を作る」という意味であり、日本語のことわざではおおむね「馬子にも衣裳」が相当する(以上、『ジーニアス和英辞典』より)。これも上述の考え方を応用すれば、「人間は誰しも着るものがそのあり方を構成するのだ」といったほどの意味になろう。また、上に挙げたYou are what you eat. をmakeを使って書き換えるとすれば、Food makes the person.「食が人を作る」ともなろうか。

なお、You are what you eat. も、You are what you wear. も、どちらも第二文型であり、S=Cといった関係になるはずだが、Youは人間であり、what you eatやwhat you wearは人間ではなく、イコールになるはずもない。とはいえ、what you eat は食べ物であり、体内に吸収され人体を構成していくと考えれば、〔私たち(の体)=私たちが食べるもの〕としてもよさそうだ。What you wear も人間ではないので主語のYouとイコールになるはずもないのだが、着るものが私たちのあり方を構成して私たちの一部となっていくとみなせば、You=what you wear としてもいいかもしれない。つまり、Youとwhat you eat も、Youとwhat you wear も、どちらも主語と補語は厳密にはイコールではないのだが、よくよく考えるとイコールと言ってもよさそうにも思われる。グレイゾーンといったところか。

[3]因果関係

考えようによっては、You are what節は、Youが結果であってwhat節が原因である、とも言えそうだ。You are what you eat.で考えてみよう。私たちのあり方は私たちが何を食すのかによって決まるのだから、何を食べるのかが原因であり、私たちのあり方がその結果となる。体によくないものを食べれば健康は悪化するし、体によいものを食べれば健康的になる。だから因果関係なのだ。You are what you wear. も同じで、みすぼらしい衣類を身にまとえば貧弱な人に見えるし、立派な服装をすれば立派な人に見える。どう見えるのかは何を着るのかによって決まるのであり、これもまた因果関係だ。つまり、この〔You[We] are what節〕には、〔結果+be動詞+原因〕といった意味合いも含まれるのだ。

[4]We are, in a sense, whom we hang out with.

さて、ここで We are, in a sense, whom we hang out with. について検討してみよう。Hang out with~は「(友人として)~と付き合う」と訳されるが、ここでは、We[You] are what節の一変形として〔We are whom節〕が使われている。また、what節が「~こと・もの」「何~か」と訳されるように、who[m]は「~人」「誰~か」というふうに理解できる。だから、この一文は「私たちがどんな人間であるのかは、私たちが付き合う人によって決まる」といったほどの意味となっている。いわゆる「類は友を呼ぶ」と似た意味であるようだ。

では、なぜ in a sense という挿入句があるのだろうか。You are what you eat. や You are what you wear. などについていえば、これらの文では、主語のYouと補語のwhat you eatやwhat you wearなどはイコールと言っていいのかちょっとわからないグレーゾーンであるが、既にことわざとして確立されているので、イコールであるかどうか怪しいところがあっても、何ら問題はない。ところが、We are, in a sense, whom we hang out with. は、筆者が特に作った表現であり、少しも人口に膾炙しておらず、We=whom we hang out with というふうに考えると、違和感が生じる。そこで、筆者は「ある意味では」と自己防衛的一句を挿入するわけだ。

この〔You[We] are wh-節〕は、それなりに生産性のある表現なので、他にも何かしら決め台詞として作れるかもしれない。


※2023年度川崎医科大学の大問2の長文問題より。Emotional; How Feelings Shape Our Thinking. (Leonard Mlodinow)からの抜粋。

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