前成説とアナクサゴラスの種子説

前成説とは、生物発生学の用語で、「個体発生において、受精卵中に成体の諸器官が縮小された形で備わっていて、それが発生とともに展開してくるという考え方」(ニッポニカ「前成説」)であり、アナクサゴラスの種子説に似る。つまり、この説は受精卵の中にすべての身体部位がすでに備わっているとするのであり、それに対してアナクサゴラスの種子説は、一つ一つの種子の中には万物を構成するあらゆる要素がすでに備わっているとするのである。

前成説は文字通りにはとらえることはできず、その意味では誤った理論なのであろうが、重要なのはこのような思想の型がある、ということなのではあるまいか。

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