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拡大と縮小

タイトルは「拡大と縮小」だが、まるで何かコピーでもするかのようだ : )
ちがうけど。

元素論を拡大すればパルメニデスの存在論となる。エンペドクレスは元素の不生不滅性を「有らぬものからは何も生じず、有るものは滅せず」(『初期ギリシア哲学者断片集』山本光雄訳編 断片129)とする。これを拡大すればパルメニデスの「有るものは有り、有らぬものは有らぬ」となる。

アナクシマンドロスのトアペイロン説を縮小すればアナクサゴラスの種子説となる。トアペイロンは質的に無限定で、あらゆる性質に対して中立的で、ここからあらゆる性質が区別されて宇宙におけるあらゆるものを発生さませる(同上、断片21)。トアペイロンはあらゆる性質を含むが、トアペイロ自体はいかなる性質からも自由だ。例えば、熱くも冷たくもない中立的水から、熱水と冷水にわかれ、区別され、発生するようなものだ。あるいはトアペイロンはあらゆる色を塗り重ねた黒のようなもので、黒自体はいかなる色でもないが、あらゆる色を含むので、何らかの手順によりいかなる色をも発生させることができるようなものだ。トアペイロンは宇宙大に拡張された宇宙的規模のアナクサゴラス的種子なのだ。

さて、アナクサゴラスによれば、万物はあらゆる性質を含むが、各個物はその中に含まれた優勢なる性質によりその個物には特性が付与される(同上、断片148)。例えば、人体を構成する要素には爪・毛・肉など人体を構成するあらゆる要素が含まれるが、爪の要素が優勢ならば爪となり、毛の要素が優勢ならば毛になるのだ。種子から爪なり毛なりの要素が優勢になって他の要素から区別し出されるのだ。そして個物は個物として成立するのだ。つまり、宇宙大のトアペイロンを原子並みに縮小すればアナクサゴラスの種子となるのだ。

このように考えると、アナクシマンドロスのトアペイロンであれアナクサゴラスの種子であれ、どちらもあらゆる性質を含み、そこからアナクシマンドロスにおいては対立する性質が区別し出され、アナクサゴラスにおいては優勢なる性質が目立ち、かくして個物は個物として生成し成立するのだ。そしてアナクシマンドロスのトアペイロンを縮小すればアナクサゴラスの種子となり、アナクサゴラスの種子を拡大すればアナクシマンドロスのトアペイロンとなるのだ。拡大と縮小。これが実はマクロコスモスとミクロコスモスの照応の背後にある観念なのだ。

知らんけどw

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