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2021年8月の記事一覧

わすれもの      百田宗治

わすれもの      百田宗治

塀越しに掌(てのひら)ほどの日のひかりが落ちる、
太陽だつて気がつかないにちがひない
この遺物(わすれもの)を私は珍重してゐる

洒落た短詩である。ふと見ると塀のところに日の光が差している。この日の光は太陽から落ちたものである。しかしあんまり小さい日の光だもんで、きっと太陽だって気がついていないに違いない。

空想を逞しゅうすれば、時期はきっと冬である。よほど寒い日なのである。しかも夕暮れですぐに

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