医療占星術における月
医学の父と呼ばれる古代ギリシャの医者、ヒポクラテス。
彼は、病状が悪化して死ぬか、自然治癒によって回復するかの分利(クライシス)を月相を使って診ていたそうだ。
つまり、月の満ち欠けの周期29.5日を4で割って約7日。
7日を2で割って3.5日(約4日)。
4日→7日→14日→21日→28日置きに悪化or回復の分利が発生する。
4日目に回復しない場合には7日かかると考えられていた。
後世の医学者ガレノスはこれをヒポクラテスの考えと主張したが、これはヒポクラテス以前からある考えであり、
古代バビロニア時代の神殿医学の流れを組んでいる。
月が人体に及ぼす影響を知っていたからこそ、占星術が生まれた古代メソポタミア(バビロニア)では、月神シンは最高神であった。
月の神が最高神だった理由
なぜ太陽ではなく月だったのか?
古代メソポタミアで盛んだった、最高神である月の神シンへの信仰。
シンは男神だった。
現在の占星術では月は女性性のあらわれとされるため、これには驚きと違和感がある。
月は人々の健康や女性の体のリズムに関係していると古代の人々は理解していた。
そのため月経痛の痛みをやわらげてくれるという権能があり、妊娠や出産の際に祈りを捧げる神でもあった。
ではなぜその神が女性ではなく男性であったのか?
その答えとして考えられるのは、今よりもさらに出産は命懸けの行為で、妊婦の死亡率が高かったためではないだろうか。
性行為以外にも、新しい生命の誕生に関わるイベントに、男性の存在は欠かせなかったのではないかとも思う。
最高神である男神シンが出産に立ち会うというのに、人の男が立ち会わないわけにはいかない。
また、なぜ月の神が最高神であったのか?
その理由を、わたしは「月が暦に関係している=農耕に関係している」ためだと思っていた。
が、月神シンが信仰されていたのはおそらく、神殿設備が古代メソポタミアに初登場した紀元前6500年ごろから。
これは、「蟹座♋︎の時代」と被っていないか?ということに気付いた。
春分点は12星座を約25,800年で一周する。
なので、1星座あたりに留まる年数は2,150年。
そのため今は(ニューエイジ運動の思想ではあるが)、
「水瓶座♒︎の時代」と言われている。
水瓶座の時代→魚座の時代→牡羊座の時代→牡牛座の時代→双子座の時代→蟹座の時代……。
というふうに、約2,000年単位で時代が変わっていくのだが、面白いことに、その時代を象徴する神が信仰されているのだ。
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