サバプロ有観客ライブは「音楽を続けるための戦争」の最前線だった

2020年10月、僕の大好きなSurvive Said the Prophet(以下サバプロ)が、コロナ禍以降初の有観客ライブツアーを敢行しました。

そのツアーファイナル、Vo. YoshのMCでの鬼気迫るスピーチが壮絶で、それを聞いた直後の今の僕は、もはや使命感と呼ぶべきものに突き動かされてこれを書いています。

拙文で捲し立てるよりも、まずは兄貴のスピーチを引用させて貰います。


-------------------------------------------------
皆様。
せっかくなんで、ステージの方を照らすだけじゃ、もったいないような日だと思うんですけど如何でしょうか。

体を動かすのも大変だったかもしれないし、友達をなくしてもおかしくないような、今日は、音楽に、まぁ現実的なことを言ってしまうと、生きるために役に立たない、音楽に、こんな大事な時間と、大事なお金を、使って頂いた皆さんに大きな拍手を。
そして心はここにいるつもりでも、いろんな事情で来れなかった、カメラの向こう側の皆さま、hello~。ふふふ。
なにこれ???笑
インスタグラムでやってるのとすごい同じ感じだった、なんか、hello~つって言ってる感じ。俺はそんな世界がすごい嫌だと思うんだよね。
あのー、ちょっとリアルな話に切り替わっちゃうけど、カメラの、奥底で、文字だけしか見えなくて、みんなが笑ってても、「笑」っていう文字しか、読めなくて。
ねーあの、時代、まあ日本語、時代とか関係ねーか、そもそも日本語がそんなに得意じゃないから。「草」って出た時に、すげー、なんか分かんないんだけどdisられてるような気がすんだよね。
(拍手)
時代と関係あってもなくても舐めんなよって感じだけど、まあ「草」でいいでしょう。ふふ。

こう言って、みんなと一緒に笑える日が、来なくなるかもしれない、そういったタイトルをつけました。"This might be the last"。「最後」というワードを、重荷を感じて動いてくれた人たちも、たくさんいると思います。そんなのが大好きで僕らはバンドという形で、生活をしています。

本当に役に立たないっていうことを、テレビの奥底から、会ったこともないような人たちに言われるこの悔しさを、誰にぶつけても結局、求めることがすごい間違っていて、その気持ちを音楽にしてやろうとしてもハッピネスは1ミリも生まれなくて、悩んでました。
「諦めっか」つって。初めてじゃないんでですけどね。その言葉が、僕の口から出たのは。けど「諦めよっか」つって口から出てから、取り戻せないものがすごい多くなりました。

生まれてくる人間だから死を恐れるし、愛してるものがなくなると、通常では、居れない。そういった弱い、賢い、生き物たちが、何か答えを、探しているタイミングだと思います。「音楽がそんな答えになるなんて」って、思っている自分が、「人生かけて今まで何してきたんだろう」なんて、悩みました。

今日だよ。

いつも通りと変わんねえ。今日、来てくれる人たちだけのために、見てくれてる人たちの、だけのために、何か昨日から、今日に変わって得たものを共有したいだけです。
「生きるって楽しい」って思いたいだけなんです!

音楽と言葉の差って何かわかる!?
リズムに、刻まれていて、ひとつひとつ、置くワードに、メロディをつけて、耳の中に、入りやすくなってって、心の中に、落ち着いて、だんだん、夢に見ていたものが、現実となっていくんです。

さあ皆さん、今ここに、置かれている皆さんは選ばれし者です。音楽というものを、永遠と続けるための勇者なんです。
その重荷を感じてくれますか!

その戦争を、一緒に戦ってくれますか!

俺らは、リーダーでもなければ、世の中から見られている屑でもない。
俺らは動物だ!

そして願わくば!音楽と共に笑顔で死んでいきたい。
「音楽で大丈夫か」って、疑ってきた親父に、しっかりと、「音楽で大丈夫だよ」って、言ってから死なせたい。

「今しかない」なんてバンドマンにクソたくさん言われてきて俺も耳にタコができてるよ。けど、俺らみたいなバンドマンが説得してやる。

だから音楽を、もうちょっと信じてやってもいいですか。






I believe in music.

I believe in people.

I believe in Survive Said the Prophet.






さあそういった人たちと今日は、音楽を、たくさんしてやろうと思っております。

大丈夫、楽しくやってたら、遅れてみんなついてくっから。

ないものねだりって言われんだろ。ないものを自慢するんじゃなくて、ないものに気づかせる。それだけで、あとは、いつも通りサバプロファミリーで、ウェルカムしてやりましょう。

そういった空間があったら、来年も見えてきそうですね。
-------------------------------------------------


凄い。
凄くありませんか。

音楽性だけじゃなく、事あるごとにこういう言葉を投げかけてくれるから、サバプロというバンドは素晴らしいと思っています。

今年1月のニューアルバム"Inside Your Head"を引っ下げてのツアーを、当初予定されていた公演数を大幅に縮小して行い、そのファイナル。

新木場STUDIO COASTのフロアにパイプ椅子を疎らに並べ、オーディエンスは立つことこそ許されていても各自の椅子の前を動かずに居なければならないという、フロア前方でのモッシュが常のサバプロにとっては異常事態としか言えない状況での公演。

僕は現地に行くことも、まして配信をリアルタイムで視聴することもできず、後日アーカイブを視聴することとなりました。

圧倒された。

振り返ると、サバプロはコロナ禍初期の大混乱の最中、3月28日にも無観客での配信ライブを開催していました。その時も、不安に覆われた世界に風穴を開けるようなパフォーマンスで勇気を届けてくれたサバプロでしたが、今回は別次元だった。

Yoshの真骨頂であるドラマチックなMCは、やっぱりオーディエンスあってこそ。
そして、配信だからこそかえって細かい音に集中できる環境、これ以上ないカメラワークによって伝わってくるメンバー一人一人の表情、手先、客席の静かな熱気。
奪われていたものが、あと少しで取り返せるという希望、予感。それを、闘志に変えてくれるライブ。
もう、感動とかじゃなくて、魂が震える。

I believe in music.

2020年10月に、この言葉を、音楽を受け取ることができて本当によかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?