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新一年生の1ヶ月

この4月、息子は小学生になった。入学式を前に、1日から学童にも入所し、学校に学童に、新しい場所に無事に馴染めるのかドキドキの1ヶ月が瞬く間に過ぎた。

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最初の数日は、同じ保育園だった子の話ばかりだったが、入学して1週間で前後左右の友だちの名前が会話に登場。
今週は学童の上級生の名前もちらほら。遊んでもらっている中で名前を覚えているようだから、きっとみんな優しくしてくれているだろう。

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学校の楽しみといえば給食。中でもカレーが出る日は指折り数えて楽しみにしていた。牛乳は苦手なようで、それでも3口から始まり、5口、10口とだんだん増えていき、遂には全部飲めるようになったそうだ。30日の今日、全部飲めた日は6回になったそう。牛乳を全部飲めるだけで、全力で褒められ、心から嬉しそうにしている。羨ましい。

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面白いほどに忘れ物をする。通学用の黄色い帽子と名札をそれぞれ1回ずつ学童に忘れてきた。算数の教科書は2回、上下巻を入れ間違えて持っていった。学校のお便りには、慣れるまでは一緒に支度してくださいと書いてあり、持ち物を一つずつ全部確認したくなるが、自分のことは自分でできるようになるには、多少の忘れ物も仕方ないな、と思う。声かけ確認はするが、あまり細かく構わないことにする。大いに困り、学習してくれと願う。

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体育の時間に男女別に背の順で並んだら、一番前だったらしい。隣に並んだ先頭の女の子より小さかったそうなので、正真正銘クラスで一番背が低い。それを「クラスで一番なんだよ!」と嬉々として報告してきた。小さくて一番も、嬉しい一番なのか、と目から鱗だった。卑下するでもなく、一番前は前ならえのときに唯一手を腰にあてる、カッコいいポジションと思っているようだ。ポジティブ思考。

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「お顔が見えないんだよねえ」
息子の通う小学校は、登校班があり、家が近い子同士数人で班に分けられ、列になって登校する。息子の班は6人で、1年生は息子だけ、その他の5人はみんなお姉さんだ。一番前は6年生の班長で、息子はそのすぐ後ろの2番目を歩く。班長の女の子は頭2つ分くらい小さい息子を気にかけながら毎日歩いてくれている。息子もその子のことを親しんでいて、出発までのわずかな時間で何組なのかクラスを聞き出したりして、隙あらば話しかけている。そのお姉さんのことが気に入っているようで、マスクの下の顔が見たい、と思ったようだ。そうだよね、顔、見たいよね。登校時にしか会わないその6年生のお姉さんの顔は、毎日会うものの顔を見る機会がないままに卒業してしまう可能性もあるだろうと考えると、切なくなる。

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学校生活の中で、様々な当番があるようだが、息子は給食の時間にいただきますをみんなの前で言う係になったそうだ。立候補したのは一人で、すんなり決まったらしい。黒板を消す係が一番人気だそうなので、それはやりたくないのかと聞くと「僕はチビだから届かないんだよ
〜うふふふ」と、もっともらしく理由を述べた。

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図工の時間、好きなものを描くというお題で絵を描いたらしい。たくさんのキャンディを紙いっぱいに描いたら、前の席の女の子がそれを見て大笑いして椅子から転げ落ちたらしい。その前の日の中休みには、昔話を創作して後ろの席男の子に話したら大笑いしていた、と言っていた。(話の内容が気になるが、話しながら途中から自ら笑い出してしまうので、未だに結末に辿り着いていない。)
いつも何でもないことで一人で笑い転げているから、それほど面白いことでなくとも、その姿を見て周りも笑ってしまっているんだろうと察する。誰も傷つけない笑い。

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学童のランドセルロッカーは一番下の段で、迎えに行くとそこからランドセル等の荷物を出して身支度をする。入り口からその様子を見守っているが、ロッカーの奥のものを取るときには体半分ロッカーにもぐってしまう。ランドセルの幅よりも細く、それこそランドセルが歩いているようにしか見えないが、それを懐かしく思う日はいずれ訪れるのだろう。
体は小さいが、この1ヶ月で内面が一気に成長したように見えて、そんなに急いで行かないで、という寂しさを…違う、今楽しそうに生きている息子の姿が、ただただ、眩しく、嬉しいだけだ。

去年休校で中々新学期を普通に迎えられなかった子たちを目の当たりにしていたので、尚更、この「普通のこと」を有り難く思う。
普通なだけで、胸がいっぱいになる。そんな1ヶ月。

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