セイレーン
セイレーンとは、ギリシャ神話に登場する海の怪物。
美しい歌声を海の中から響かせ、船で移動する乗組員を海の中へ誘う。
心地の良い言葉を浴びせられ、つい盲目になってしまう状況に出会ったことはないだろうか。
盲目になりすぎて自己を失ってしまう者も数多くいるであろう。
心という見えないものは厄介だ。
見えないからこそ取り込まれてしまった時に、善悪関係なくそれに縋りたくなってしまう。
一度縋りつく快感を覚えてしまうと、
次に訪れるのは離れる苦痛と離れられない苦痛に襲われ蝕んでくる。
何にも変え難い埋められない場所ができてしまうからだ。
まるで、セイレーンの美しい歌声のようだと感じてしまう。
取り込まれないために自己を律する事で防げるのであろうが、誰にでもできることではない。
かつて、船の乗組員は耳栓をして聞かないという手段を取っていたとされる。
見えない心を持ち合わせてしまっている私たちには、耳栓のようなものは存在しない。
自分なりの耳栓は人との巡り合わせの中で見つかるのかもしれない。
セイレーンは、美しい歌声を誰に聞いて欲しかったのだろうか。
真夜
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