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唐川侑己さんが出てくるまで(幕張から)帰れま10 #3:傘の花咲くZOZOマリン(S-M)

 はい。

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 長い間ご愛顧ありがとうございました! Mayim先生の次回作にご期待ください!

 もうここで全てを終わらせてもいいのだがそんなわけにはいかないのでもうちょっと書く。
 


 いよいよヤクルト戦がやってきた。noteをはじめたきっかけが虫明さんのヤクルト観戦エッセイな私としては一番楽しみなカードだった。早々に私史上最前の席を押さえ(テーブルありがたすぎる。貴族の席じゃないか)ワクワクドキドキしていたらなんと先発が奥川くんという最高の情報が飛び込んできた。運がいい。

 が、しかし、ところが、当日の私はなぜかド緊張のあまり酸欠になりかけ、輪をかけて不可解なことに「今日は行きたくない……」とすら思っていた。今考えればこの謎の緊張は唐川レーダーの反応だったと思うのだが、山手線で一、二番に連続でホームランを打たれいきなり先制されたのを知った時がピークだった。生奥川くんは甲子園でも見たしU-18壮行試合で一塁コーチやってるのも見たしけっこう見てるからいいんじゃないかな!? とか思っていたが、とにかく行かねばならない。東京駅の京葉線への乗り換えも海浜幕張からマリンへの道のりもいつもの倍くらいに感じながら(東京駅のあれはなんでもない時でも永遠に感じるくらいの距離だけど)、どうにかこうにか着いた。


 TEAM26窓口でマーティンのボブルヘッドをもらって貴族席に座ったら、いつのまにか同点になっていた。いいね! と思っていたらあっという間に2点勝ち越した。海賊打線もかなりすごい。立ち上がりにいきなり2発浴びた二木さんも見事に立ち直っていた。こないだの大野雄大の時も思ったが、たぶん先発に必要なのは長いイニングでどうやって立て直していくかということなのだろう。えらい。これで唐川さんの召喚条件は揃った。


 5回裏、ツーアウトランナーなし。打席にはレアード大将。ベンチから「握ってくれーー!!」という声が飛んだような気がした。いや、確かに聞いた。ちょっとウケていたら本当にスシを握ってしまった。狙ってもいい場面ではあるがそこでリクエストに応えてくれるとは気前のいい寿司屋である。食べログ5.0。


 二木さんの後を継いだちーさま(誕生日おめでとうございます)が安田先輩とキャプテンのバースデープレゼントのような好プレーもあってパキッとワントゥースリーで抑え、4点というリードながら舞台は整った。

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 ゲートが開く。白いメルセデス・ベンツS560カブリオレがスッと入ってくる。その上で相変わらず何も考えていない顔をしている。谷保さんのアナウンスでシャーリー・バッシーの「Get The Party Started」が響き渡る。美貌のリリーフエース、魔性のセットアッパー、幕張のリベラ。唐川侑己、ついに降臨。

 ほぼ2か月ぶりの生唐川さん、と言っても前の時はこんなに唐川推しではなかったので実質初めてと言ってもいい生唐川さんに興奮しすぎてシャッターを切る手が止まらなくてなんか笑ってしまった。後で見返したら唐川さんだけで261枚撮っていた。取捨選択は後でやればいいのでとにかくその場では撮ることに集中する。ただカメラに夢中になりすぎてせっかくの生なのに直接目で見ていないという運動会の親現象が発生するとちょっと悲しいので、片目でファインダーを覗きつつ片目で直接見てうまいこと焦点を調節して同時に見るというテクニックを会得した。その場で直接目に焼きつけるのも後から見返せるし記録に残しておくのもどちらも同じくらい大事。

 と、浮かれていたら山田哲人さんにホームランを打たれてしまった。7月5日VS7月16日を見守る7月16日という7月生まれフェスティバル状態の中、7月16日生まれ界のトップランナーはやはりすごい。唐川さんのカットボール、打てたじゃないか……なんだよ……と思いつつゆっくりダイヤモンドを一周してベンチへ帰っていくスターを見送った。

 ただそのホームランに対して何の感想もないかのようにポーカーフェイスを貫いた唐川さんはその後のバッターはきっちり空振り三振(帽子のつばをさわるあれを見せてくださってありがとうございます)とライトフライ、ファウルフライに仕留め淡々と帰還した。点差を詰められただけのソロホームランは事故である。それにしても表情が変わらないしぐんにゃりしている(?)時もあったし、本当に平常心で投げているんだなと感嘆した。

 さて東京ヤクルトスワローズ。観戦エッセイのおかげで出てくる選手がだいたいわかるという「これ進研ゼミでやったやつだ!」現象が起きてうれしかった。あと村上くんがかわいくて大好きなのでルンルンしてしまった。村上くんは最高。四番顔(いかにも四番打者な顔の意)だし。

 そしてラッキー7の東京音頭。初めての生東京音頭とあの傘。美しい景色だった。ずっと見たいなと思っていたので、ちょっと泣きそうになるくらい感動した。今回は生で見たいものを全部見られたような気がする。こんな思いをしてしまっていいのだろうか。来るまではあんなにグズグズしていたのに。


 さあ9回表はまっすー。登場時のビジョンの映像にクローザー特別演出が入っていてカッコよかった。クローザーはそれぐらい特別扱いしていいし年俸は5兆円くらいあってもいい。それぐらい最後の3アウトを取るのは大変な仕事だ。

 前の試合でまっすーは最後の3アウト目を取れなかった。あれだけのキャリアのある人なので、切り替えてはいるだろうがさすがにランナー一塁二塁になると頭をよぎるくらいはあるのかもしれない。が、それは本人にしかわからない。我々がわかるのはただ最後のバッター青木さんをセカンドゴロに仕留めてしっかり試合を終わらせたことだ。「だいじょぶだいじょぶだいじょぶ」と呪文のように呟きながらカメラを構えていた私は大丈夫ではなかったがまっすーは大丈夫だった。えらい。来季の年俸は5兆です。

 今日もBye Bye My Loveを聴きながら駅まで歩いた。ここのところ行きも帰りもバスに乗っていない。歩きながら唐川さん出ちゃったけどこのシリーズのタイトルどうしようかな、ということばかり考えていた。こうやって書くのは楽しいのでこれからもやっていきたいが、どうしよう。「唐川侑己さんが出たけど(幕張から)帰れま10」にするか。出てきても帰れない。地獄か。

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