見出し画像

藤原恭大と唐川侑己が(中略)帰れま10 #6:大野雄大に気を取られていましたけれども(H-M)

 この日は藤原くんの22歳の誕生日であり(おめでとうございます)、友人を初めてロッテの試合に連れてきた日であり(前一緒に行ったのはなぜかロッテに一切関係ない阪神-巨人だった)、初めて野球の前にすぐ近くのイオンモール幕張新都心に行った日であり(野球と同じくらい商業施設を愛している人間なのだが、カメラを持っていかなければならない野球観戦とたくさん歩き回る商業施設ウォッチングの食い合わせが悪くて今までなかなかできなかった)、そして佐々木朗希くんが先発の日だった。今シーズン彼の先発試合を観に行くのはこれでもう3回目である。

 誓って言うが、朗希くんが投げる日を狙ってチケットを取っているわけではない。ただの偶然である。ここまで来ると佐々木朗希に呼ばれているのではないかとすら思う。一方大野雄大の先発試合は行く予定だったのに何らかのアレで中止になったりしているので、大野は私を呼んでいないのであろう。別にいいが。


 まあ大野もがんばってくれたまえ、と思いながら目の前で行われている試合に集中した。朗希くんは序盤でいきなり164km/hを出し、先制はされたものの前回のオリックス戦に比べると奪三振も多く調子は良いように見えた。そんなピッチングに応えて打線も千賀さんから3点奪って逆転に成功し、なかなか良いんではないでしょうか、と思いながら何気なくツイッターを見た。


 「中日・大野雄、5回までパーフェクトピッチング」。


 えっ?すごくない?……いや、5回までならわりとよく聞くし……完全試合評論家として言わせてもらうと本物の完全試合でも5回終わった時点では全然意識しなかったし、いやいやいや、まだ早い。落ち着こう(「完全試合を生で観た」というだけで完全試合評論家を勝手に名乗っている。許されたい)。


 しかし7回、8回と回を重ねても大野のパーフェクトは続いた。ここまで来てしまうとさすがの完全試合評論家も「もしかするともしかするのでは……」と思ってしまう。


 ロッテがこのまま逃げ切りまっすーの605試合目の登板に花を添え大野雄大は完全試合をした藤原くんの誕生日、となればそれはもう歴史に残る一日になることは間違いなかった。

 しかし世の中、そう簡単にうまくはいかない。9回にツーランホームランで追いつかれることもあれば、10回2アウトでサトテルくんに初ヒットを打たれることもある。ままならない。なんでこっちのホームランっぽい当たりはことごとくフライになるのにあっちのは入るんだとか、9回までに1点でも入ってればそもそも10回表なんてこの世に存在しなかったはずだとか、ヤクルトが夥しい点数を取っているが3点くらいくれないかなとか、いろいろ考えてしまう。

 でも名古屋ではその裏、未来の主砲ことタカヤイシカワがサヨナラヒットを打って大野に2勝目をプレゼントした。完全試合をしたピッチャーは16人もいるが、9回完全で10回に打たれたピッチャーは歴史上2人しかいない。見ようによってはこっちの方がレアであると言えなくもないよ大野。

 幕張は……まあ……負けたけど、勝ったか負けたかで言ったらそれは負けたけど、ダメなことばかりじゃなかった。9回で終わっていればこの世に存在しなかったはずの11回裏に藤原くんが代打で出てきて、バースデーに姿を見られたこともそうだ。敗戦ムードを吹き飛ばす一打は出なかったけれども、それでもいつかどこかでドカンとやってくれるかもしれない。ロッテが素晴らしい勝ち方を見せてくれる日も来るであろう。大野も今度こそ完全試合をやってくれるかもしれない。こうやって未来に希望を抱かせてくれるのも、勝っても負けても平等にリセットされた明日が来るプロ野球のいいところだと思っている。

(イオンモール幕張新都心の電話ボックスみたいなヒトカラスペースでこれを歌いました)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?