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藤原恭大と唐川侑己が(中略)帰れま10 番外編:ちょっと早めの花火大会(M-S)

 珍しく余裕を持って出たのに、電車に乗った瞬間カメラのレンズを忘れてきたことに気づいて引き返すはめになった。おかげで神宮に着いたのは花火が何発か打ち上がった後だった。

 しかし見逃した私のためにもう何発か見せてやろうというサービス精神なのか、うちの安田先輩が2打席連発となるソロを打ち、その直後にヤクルトの濱田くんもソロを打った。ソロデビューしすぎである。

 この分だと最後まで両軍ボコボコに打ち合う神宮大花火大会が続き、プロ野球ニュースの「今日のホームラン」が放送時間内に収まりきらないのでは……と危惧したが、花火は十分見ただろということなのか、5回以降はスッと落ち着いた。プロ野球史上15人目の全打順ホームランを記録したキャプテンが塁に出てレアードがヒット(ホームランが寿司なのでヒットは刺身らしい)を放ち、4点目にしてようやくタイムリーで点が入る。ちょっと何を言ってるのかわからない。


 構図的にはヤクルトが何度も得点圏にランナーを進めてバッテリーを脅かし、ロッテはそのたびに虎の子の1点を死守するためにどうにか凌いで凌いで凌ぎ続けるという感じだった。つまりビジターで一番観るのがキツい展開である。塩見さんはいつ見ても三塁にいる。

 しかしピッチャー陣も頑張った。先発のみまっち(バッター姿見れてよかった)から小野くん(小島世代の一角)、東條さん(湘南ボーイ)、ゲレーロ(スイクン(204cm)とほぼ同じ大きさ)と繋いでピンチを切り抜け続け、とうとうまっすーの召喚に成功した。


 ビジターはカッコいいビジユニを見られるという特典を与える代わりにサヨナラ負けのリスクを背負わせてくる。点差はわずか1点、迎えるバッターは川端さん。めちゃくちゃに頑張らなければならない。今日はビジター応援デーの企画であなたのカードを配っているのだから抑えてくれないと困るよ……このカード見るたびに「ああこれはまっすーが打たれた日にもらったカード……」とか思うの嫌だよ……と思いながらファインダーを覗く。手が震える。それでも手ブレしないのだからカメラは偉い。


(まっすートレカ)

 震える私をよそに、まっすーは逃げずにそこにそびえ立つ。ピッチャーゴロを一瞬見失って私の心臓をヒュッとさせても、山崎くんに打たれてまたヒュッとさせても、塩見さんと山田哲人さんを迎えても(どういう打線だ?)、まっすーは27個目のアウトまでしっかり取り切った。私は最後ファールフライを打ち上げた時、追っていくレアードを見ながら思わず「取れる!!」と言ってしまった。


 打線からしたら「もう一本が出なかった」という試合は、相手となるピッチャーからしたら「もう一本を出させなかった」という試合でもある。勝ち越した直後に追いつかれても、そのまま追い越させなかった。耐えて凌いで逃げ切った。ピッチャーは点を加えることにはほとんど貢献できない。できるのは点を守ることである。でもいくら花火を打ち上げても点を守れなければ勝てない。大切な仕事だ。


 ところで交流戦のビジターといえば、2019年に東京ドームで巨人対オリックスを観た時にヒーローの小田さんへ思いっきり「小田ーー!!ナイスバッティーーーング!!!」と叫んでいたおじさんのことが忘れられない。あれ以来ビジターではああでありたいとなんとなく思っている。いや大声を出すのはまだダメだが、ビジターでもホーム側に負けないくらい応援したい。だからヒーローの安田先輩には声の代わりに思いっきり拍手をした。それがしっかり届いていたようだったのも少し嬉しかった。


 9回裏を凌ぎ切らなければいけないけど、もしかしたらサヨナラ負けするかもしれないけど、いつもの場所じゃないところでプレーをするロッテはやっぱりカッコいい。今年はもうちょっとビジターにも行きたいな……とちょっと思っている。

(つば九郎先生とマーくんもよかったです)



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