育児のおやすみ⑤ 育児休業給付金もらえる金額どう計算される?
今回は、育児休業給付金がいくらもらえるかの金額についてのお話です。
1.あなたがいくらもらえるかの計算
これから育児休業をとりたいと思うひとが、実際いくらもらえるのか、具体的な金額を知りたい、というときは、シミュレーターが何より一番です。
一般の会社や生保会社でもシミュレーターは用意されていますが、最近の育児休業給付金はひんぱんに法改正があって金額が変わる可能性があります。
法改正があるつど、メンテナンスが確実にされるはずの、厚生労働省のものが最適です。
2.育児給付金のもらえるお給料に対しての割合
具体的な金額はさきほど述べた通りシミュレーターが確実ですので、ここからは制度の話。
育児休業給付金は、現在、休業開始(一般的には産後休業がおわったあと)から6ヶ月目までは休業前にもらっていたお給料の67%、6ヶ月目以降は50%がもらえるということになっています。
ですが、このパーセンテージになったのは、実は平成26年からのこと。
その前は全期間50%だったり、職場復帰したあと6ヶ月だったらもらえる給付金と合算して50%だったりしました。
職場復帰して6ヶ月たたないともらえない給付金が当初あった、ということから、育児休業給付金はあくまで「働き続けるひとを増やす」ための給付金としてできたことがわかります。
現在の「6ヶ月までは67%」という金額は、産前産後に健康保険に入っているひとが健康保険からもらう出産手当金と、実は同じ水準です。
出産手当金は、産前休業にはいるまえの1年間のお給料の平均(正確にいえば、お給料から天引きする健康保険料等の金額を計算するときに利用する、お給料ベースで決まる「標準報酬月額」)の3分の2を支給する決まりですが、3分の2とは66.6…%、つまり、67%とほぼイコールになります。
この出産手当金も、雇用保険からもらえる育児休業給付金も、所得税も個人住民税もかかりませんし、ここから社会保険料が天引きされることもありません。
通常のお給料であれば、もらうお給料のおよそ20%が所得税・個人住民税や社会保険で天引きされることになりますから、理屈からいえば、手取りの金額として休業前にもらっているお給料から1割と少し減る、という感じでしょうか。
ここでポイントになるのが、この「休業前のお給料」です。
3.「休業前のお給料」とは?
休業前のお給料とは、いつのお給料をさすのでしょうか?
一般的には、産前休業→産後休業→育児休業という流れで休業をとることになります。
産前・産後・育児休業の間も、大企業になるとお給料を支給するという会社もありますが、ごくごく少数派。
通常は、産前休業に入ったところからお給料はないのが普通です(なので、出産手当金や育児休業給付金があるのです)ので、「休業前」のおやすみは、「産前休業の前」ということになります。
余談ですが、産前・産後・育児休業中にお給料がでるひとは、お給料がでるのですから、お給料があるぶん出産手当金・育児休業給付金は減額されたりもらえないこともあります。
産前休業の前、といっても、直前からではありません。
たとえば、お給料の計算期間が、16日から翌月15日までのひとの場合。
2月16日から3月15日までフルに働けば、お給料は1ヶ月分貰えますが、2月28日まで働いて3月1日から産前休業に入った場合、正社員で月給のひとでも、パート社員で時給のひとでも、お給料はおおよそ半分になると思います。
このお給料半分の月も、給付金の計算に入れてしまっては不利になります。
ですので、給付金を計算するときに対象とする月は、こういった半端な月はもちいません。
産前休業がふくまれない月からさかのぼります。
さかのぼって、6ヶ月分を確認します。
ここでも、前に説明した「お給料が発生している月が11日以上」の法則がでてきます。
問題なくずっと働いていれば、産前休業がふくまれない月からさかのぼって6ヶ月。
もしその6ヶ月の間に、出勤・年次有給休暇の日が11日未満の月があれば、そこはお給料が基準以下の月で不利になるので、やはりスキップしてさかのぼります。
その6ヶ月間の毎月のお給料(通勤手当も、残業手当も、すべて含む金額)をぜんぶ足して、6ヶ月間の日数である180(30日×6ヶ月、雇用保険は1月を30日と考えます)で割ると、1日あたりの金額が出ます。
育児休業を開始してから6ヶ月は、この1日の金額の67%が支給され、6ヶ月以降は、50%が支給される、つまりは1日あたりの金額×休業した日数で計算されるわけです。
通常は2ヶ月に1回、過去に休業した日を数えてまとめて申請しますので、2ヶ月分がまとめて後払い、というかたちになります。
4.休業前のお給料のポイント
ポイントは、6ヶ月間の毎月のお給料には、通勤手当も残業手当もふくむ、ということです。
たとえば、産前休業直前まで、母体がとても元気で、ばりばり残業もしていて残業手当をたくさんもらっていたら、その分も給付金に反映します。
大きいお腹をかかえての残業はかなりおすすめしませんが、理屈ではそうなります。
また、たとえば、今回産んだ子に続いて次の子も授かった場合。
こんなケースもよくあります。
(第1子)産前産後休業→(第1子)育児休業…この間に、第2子を妊娠…(第2子)産前産後休業→(第2子)育児休業…
この場合、どこが「休業前のお給料」になるかというと、もちろん、(第1子)産前産後休業の前です。
つまり、第1子・第2子の休業で「休業前のお給料」は同額になるわけです。
対象者が多いパターンとしては、途中に一度復帰をはさむパターンがあります。
こういった感じですね。
(第1子)産前産後休業→(第1子)育児休業→〔復帰〕→第2子を妊娠→(第2子)産前産後休業→(第2子)育児休業…
この場合、第2子の「休業前のお給料」は、この復帰している期間のお給料も対象となるため、たとえば育児短時間をとっていて、お給料が下がっている場合、第1子にくらべて「休業前のお給料」は下がることになります。
前の、続けて育児休業をとるパターンの場合、実は、第2子妊娠中も第1子の育児休業をとれるまでとると、育児休業給付金をもらったうえに、第2子の産前休業では出産手当金ももらえる、ということもあります。
給付金のこと「だけ」考えれば、続けての休業取得は有利といえます。
ただ、子宝ばかりは授かりものですし、年子にちかい子の育児はなかなか大変でもあります。
そういうこともあるのね!とストックしていただいて、ご自身やまわりのかたで該当した場合は、よろこんで手続きしていただければと思います。