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性同一性障害である職員に対して経産省の女性用トイレ使用制限は違法と最高裁判決 0476/1000

1.判決に物申したいときは、判決文を読んでから

昨日、2023/7/11に最高裁判決が出て、あちこちのニュースで取り上げられているこの件。

こういった判決に対して異論反論オブジェクション(古い!)がある場合は、かならず、元ネタの「判決文」をしっかり読んでからにしましょう。

なぜなら、判決の根拠をしっかりふまえないと、不要な誤解がうまれたり、どんな意見も的外れになる可能性があるからです。

判決文はこちらの裁判所Webサイトから読めます。

2.今回よく見られる誤解

?この判決で、対象の職員が女性トイレを使えるようになったということ?

▶︎いいえ。
この方は、もともと4年10ヶ月前からオフィスの女子トイレを使っていました。
女性ホルモン投与をしていて、性暴力につながる可能性も医師の目から見て低く、特にトラブルもなかったということです。
それなのに、経済産業省がその職員の所属部署のあるフロアとその上下階のフロアは同じ部署の職員も利用するから利用しないように、としていたのを解消して、同じフロアのものも使っていいよ、となりました。

?「自分は女だ」と言って、女子トイレを利用しようとする人が現れたら受けなきゃいけない?

▶︎現れても、会社はノーといえます。
今回は、他の女子トイレを使う女性から特に困ったという話が寄せられていないのに、4年10ヶ月女子トイレを使い続けた人に近いトイレを使わせない判断がおかしい、というお話です。
本人が「自分は女性」といっても、女性ホルモン投与等の処置をとっていないなどその言動の真実さがいまいちだったり、職場の女性がNOというなら、NOといえます。

判決文を読むと、法的に妥当な範囲で、裁判官が性同一性障害を持つ人の苦しみに近づいているような気がします。

多様性の時代、こういった案件は特にケースバイケース。

むやみにわかりやすく単純化したりせず、名前のあるひとりひとりのケースとして考えましょう。

そのためにも、まずは判決文!です。

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