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人手不足と人手余りの業種から考える労働移動

帝国データバンクから、2023年4月の人手不足感の調査結果が公表されました。

正社員の人手不足は51.4%で高止まり続く、ということですが、この数字は平均値。

正社員の人手不足割合を業種別にみると、「旅館・ホテル」が75.5%で最も高く、月次ベースでは6カ月連続で業種別トップということで、深刻な人手不足が続いているのがわかります。
ついで「情報サービス」が74.2%。「メンテナンス・警備・検査」(67.6%)は9カ月連続、「建設」(65.3%)は12カ月連続で6割超の高水準となっています。

その平均が50%強ということは、それだけ「人手余り」な業種もあるということです。

この調査ではマイナスの結果はわからなかったため、厚生労働省が発表している有効求人倍率を見てみましょう。

有効求人倍率は、直近2ヶ月の求人数を、職を探している人で割ったもの。

1を上回れば、ひとりのお仕事を探している人に対してひとつ以上の求人があり、1を下回れば、ひとつのお仕事にひとり以上のお仕事につきたい人がいることをあらわす数字です。

今回の調査とどんぴしゃりな業種がないものもありますが、2023年3月の数字では、旅館・ホテルに該当すると思われる「接客・給仕の職業」は3.29、「情報処理・通信技術者」は1.54となっています。

「接客・給仕の職業」の高さはきわだちます。
「情報処理・通信技術者」はそうでもないように見えますが、平均が1.32であること、転職者数という分母がそもそも多い業界であることから、人手不足がそのまま有効求人倍率に現れていないのではと思われます。

では、逆に、有効求人倍率が0.5を切っている、ひとつのお仕事にふたり以上手を挙げる人がいるのはどんなお仕事でしょうか?

0.5以下は3業種。

  • 美術館、デザイナー 0.21

  • 一般事務の職業 0.42

  • 事務用機器操作の職業0.44

この結果をみると、政府が「労働移動」をのぞむのもわかる、と思います。

では、この人手余り感かある「一般事務の職業」のひとりである私は、労働移動をのぞむだろうか?と、胸に手を当ててみました。

いくら引く手あまただからといって、いきなり旅館・ホテルの職業に行く勇気はわきません。

自分の接客がスキルとして役に立つのかも気になりますし、もちろん、お給料面も、休日や労働時間の働きかたも気になります。

では、短期間の出向のようなかたちで行ってみませんか?と聞かれたら、期間が明確でお給料が変わらないのなら、試してみたい気持ちはあります。

出向促進を目的とした助成金もありますが、経営が苦しいから雇用維持のために出向させるというのが原則です。

こうした労働移動でちょっと試してみたい人の背中を押してくれる制度があればと、個人的には思うところです。

今日のアイキャッチは画像生成AIアプリStableで作成しました。
リクエスト「人手の多い業種から人手不足の業種への労働移動のイメージ」


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