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やっぱり高いのは106万の社会保険の壁?実は所得税の壁でもあるnote702日目

エン・ジャパン株式会社が、運営する『エン派遣』サイトのユーザー2700人への「年収の壁」アンケートで、106万円の年収の壁がいちばん高いという結果を公表しました。

まずは「年収の壁」という言葉を知っていたかどうか。

詳細まで知っていたのは36%、なんとなく知っていたが57%と過半数を占める結果になりました。

この「なんとなく」レベルが気になるところですが、つぎの質問を見ると、この質問の対象には、扶養関係なく働いている人も含まれていることがわかります。

自分が扶養内で働いているわけではない人にとっては、「なんとなく」が多数派なのかもしれません。

つぎの質問は、
「現在扶養内で働いている方/離職中で扶養内で働くことを希望している方に伺います。あなたにとっての年収の壁はいくらですか?」
というもの。

扶養内で働いている/働くことを希望している人は、あなたの「年収の壁」はいくらですか?という質問に答えているということで、認知度は高そうです。

結果は106万の壁が48%と過半数近くになりました。

次点が38%で106万・130万以外というもの。

となると、以下の例が考えられます。

・100万の壁 住民税が発生
・103万の壁 所得税が発生、配偶者控除がなくなる
・150万の壁 所得税の配偶者特別控除が減額スタート
・201万の壁 所得税の配偶者特別控除がなくなる

2023年に別の組織が行なった同じテーマのアンケートでは、103万、150万が目立つので、そこが多い可能性があります。

『しゅふJOB』アンケートより
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000819.000003176.html

今回のエン・ジャパン株式会社のアンケートでは、厚生労働省が実施している「年収の壁」パッケージについても質問しているので、社会保険の壁である106万円・130万円に的をしぼっていると考えられます。

106万円、月8.8万円をこえると、2024年2月現在では、従業員101人以上の会社で健康保険・厚生年金に入らなければいけません。

つまり、これまでは配偶者の扶養に入ることで、ひとり分の保険料を払えば、追加払いなしで健康保険も国民年金も入れていたのが、自分で自分のぶんを払わなければいけなくなるのです。

これは、今年の10月からは51人以上の会社に拡大される予定です。

130万の壁は、現在であれば100人以下、2024年10月からは50人以下の会社で、社会保険に自分で入ることになるものです。

では、106万円の壁が高いということは、101人以上の会社に勤めている人が多いということでしょうか?

実は、106万円の壁は、一般に社会保険の壁と言われますが、所得税のかくれた壁でもあるのです。

所得税は、配偶者であれば、給与収入150万円を超えなければ、税金を安くしてくれる金額は実は変わりません。

ですが、月額88,000円を超えると、毎月のお給料から、所得税を引かれるようになります。

この88,000円という数字は、さっきの社会保険の壁と同じ。

つまり、106万円という壁を超えなければ、社会保険でも扶養に入れるし、所得税でも扶養に入ったまま、自分の納める所得税もかからないのです。
個人住民税はかかりますのでご注意を。

実際のところ、103万円の所得税の壁は、会社の扶養手当の基準でなければほとんどないも同然です。

また、100万円の個人住民税がかからない壁を超えないよう調整してが、結果として若干超えてしまい、でも106万円でおさえよう、という意識もあるのかもしれません。

130万円までは月に2万円以上のかなりの開きがありますから。

社会保険は壁を壊すのにパッケージを作って熱心ですが、税金のほうは201万円まで配偶者特別控除のラインを高くしたあとは、あまり熱心ではない印象があります。

今回の定額減税も、あらたな103万円の壁を作るものです。

税と社会保険を分けるからベクトルが分かれて効果的な政策になっていないともいえます。

もう少し厚生労働省と財務省が同じ方向を向いてくれたら、年収の壁の様相もかわってきそうです。

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