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不妊治療、会社に相談できる?できない?〜「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」結果note738日目

厚生労働省「不妊治療を受けやすい休暇制度等環境整備事業」の一環で行なった、「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」についての結果が公表されました。
企業と労働者とそれぞれの現状がわかります。

企業は「女性の活躍推進企業データベース」においてデータ公表を行っている企業をベースに1,859社から回答を得、労働者は男女労働者2,000人(以前就労しており、現在は離職中の者を含む)の登録モニターが対象です。

まず、不妊治療と仕事と両立で何が問題なのか。

労働者からは、通院回数が多い、精神面で負担が大きい、時間や日程が読めない、などの回答がよせられています。

実際仕事を辞めてしまったり、雇用形態を変えた人(正社員からパートなど)からの回答も、時間が読めないことや、心と体への負担が大きい(つまり不妊治療をしながらの仕事が重い)ことがあげられています。

私自身、かつての部下で、不妊治療のため正社員からパート社員に雇用形態を変えた人がいます。

遅刻早退お休みがしにくくはなかった職場だったと思いますが、非常に真面目な人だったので、正社員でなくなってかなり気持ちがラクになったと言っていました。

そんな困難を抱える人がいるなか、会社の対応はどうなっているのでしょう?

まずは、62.3%の会社が、不妊治療を行なっている社員がいるか「わからない」と回答しています。

また、休暇制度や、時間や場所を柔軟にできる制度のある会社は半数を切っており、不妊治療に特化した制度は無い、が37.2%となっています。

37.2%は、あくまでも「特化した」制度がないだけで、不妊治療のために使えるものはあるのかもしれません。

ですが、不妊治療と仕事の両立にかんする普及活動未実施が95.7%、不妊治療を行なっている社員への面談未実施は78.9%という数字をみると、個人的には、「女性の活躍推進企業データベース」でデータを公表する会社がこの調査の分母にしては、まだまだこれからという印象です。

とはいえ、会社が不妊治療に特化して制度拡充をすすめればよいかというと、そうも言えなさそうです。

理由は、「不妊治療をしていることを職場で一切伝えていない/伝えない予定の」人が、47.1%となっているからです。

上司に伝えている人は26.6%いても、オープンにしている/する予定の人は7.6%。

どうしても理解してもらう必要がある人だけに伝えているという印象です。

また、そうして伝えても、上司や同僚から嫌がらせを受けたり、制度が利用できなかった人がそれぞれ10%強いるという結果になってしまっています。

2024年冬ドラマの「不適切にもほどがある」9話では、不妊治療ではなく妊活ですが、そのことを周りに漏らされた、という思い込みから、デリケートな問題であることが描かれています。

つまり、まずは不妊治療のための制度よりも、不妊治療で柔軟な働き方がしたいことを言えたり、そもそも不妊治療でなくても柔軟な働き方を皆がしているという職場環境のほうが問題だということです。

人手不足の世の中で、ひとりが毎日朝から晩まで会社にいるような働き方は、だんだん少なくなって行くと思います。

他の会社で仕事するためであっても、その会社に縛られない働き方がひろがることは、育児や介護、今回の不妊治療の仕事との両立支援にプラスになるのではないでしょうか。

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