「労働時間」から「生活時間アプローチ」へセルフシフトしよう!
物事は真逆から考えることで、新しい世界が開けることがあります。
今回は、日本の労働時間に関するそんなシフトチェンジについてです。
”karoshi"が日本語そのままに英語圏の言葉にもなるなど、日本の労働問題は、「労働時間問題」だと長年言われて続けていました。
1日8時間、週40時間と労働基準法で決められている労働時間は、2018年の働き方改革関連法案で上限時間が決まるまで、青天井で、やりようによっては何時間でも働かせることができていました。
2018年にようやく、時間外労働としては月80時間・年360時間という上限はできましたが、月80時間の残業というのは、実は過労死ラインぎりぎりです。
まだまだ世界標準から見ると長い日本の労働時間。
2018年に続けてさらなる規制をすべきかの議論が、いま、厚生労働省ではなされています。
ですがその議論には、ひとつの逆転の発想も持ち出されています。
それが、ヨーロッパで主流となっている「生活時間アプローチ」です。
まず労働時間を考えて、残りが生活時間、というのではなく、まずは生活時間から考えるのが「生活時間アプローチ」です。
睡眠8時間、食事に2時間…と積み上げていった生活時間をまず確保する。
その生活時間のなかには、市民として当然必要な、市民権を行使する時間も当然含まれるとされます。
そこで思うのが、東京都民であれば直近7月に迫った都知事選挙です。
都知事選挙そのものに行く時間も、だれに投票するかを決める時間も、「市民権を行使する」重要な時間です。
ですが、
「仕事が忙しくて投票に行けない」
そう口にする人が、私の周囲でも珍しくありません。
自分たちの生活や国や自治体の未来に大きく関わる大事な選択よりも、仕事が優先となる。
その仕事のあり方や、仕事の考え方そのものを、私たちは見直すべきではないでしょうか。
生きていく上で、動物としてすべきこと、生活上事務としてすべきことを確保してからの、労働時間。
この「生活時間アプローチ」と近い考え方の仕組みに、「勤務間インターバル」という制度があります。
終業時間から次の始業時間までの生活時間を担保しよう、という考え方で、いまは9時間が努力義務となっています。
この勤務間インターバル制度、導入している企業はあまり多くはなく、令和4年の調査で5.8%ほどとなっています。
導入率が低いいちばんの理由は、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」となっています。
確かに、勤務間インターバルを11時間としても、20時終業、翌日9時始業で13時間あいているのですから、余裕でクリアできます。
ですがこの、「まずは生活時間を確保し、すべきことをする」という優先順位のつけかたが、もっと日本には広がるべきと思います。
すべきことのなかには、先に述べた市民権の行使も、学びも含まれるからです。
「生活時間アプローチ」、企業が導入する前に、私たち自分自身が導入して、必要な時間をしっかりとっていきましょう。
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