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治療と仕事の両立支援がすすめば介護にも好影響、そのためには両立支援コーディネーター!0605/1000

第64回日本肺癌学会学術集会で2023/11/3に行われたセッション「なぜいま就労両立支援が重要なのか?〜第4期がん対策推進基本計画とアフターコロナを踏まえて〜」の中で、就労両立支援についての患者・医師へのアンケートが公表されました。

このアンケート結果から、両立支援コーディネーターがもっと活躍すれば、介護問題にもよい影響が出せるのでは、と思いました。

内容を見てみましょう。

「患者・医師アンケート2023から見えてくる就労両立支援のいま」という題で発表されたのは、池田慧先生(神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科)。

池田先生は、日本肺癌学会において「教育研修委員会」の委員をされており、そのなかで、中外製薬と共催で『肺がんの治療と仕事の両立支援』のプロジェクトを3か年計画で行なっているかたです。

アンケートは2019年にもとられており、比較するかたちで発表されました。

Q)がん相談支援センターには相談できる就労支援の専門家がいることを知っているか?
A患者)「知っており利用したことがある」と回答した割合が15%から27%に増加
A医師)「知っており利用を勧めたことがある」と回答した割合が40%から51%まで増加

Q)傷病手当金について知っているか?
A患者)「知っており利用したことがある」と回答した割合が30%から45%に増加、「知らない」との回答が36%から18%まで減少
A医師)医師側に関しても同様の傾向

両立支援のための制度については、周知がすすんでいそうです。

とはいえ、傷病手当金の知名度が50%いかないのには、もっと、アピールが必要ではと個人的には思います。

池田先生はこの発表で、ここ数年で肺がんの長期生存時代が一気に加速したことに言及し、それに伴い長く治療と付き合っていく必要性も増し、就労支援の重要性が高まってきている、と説明されたということ。

アンケートでは、こんな、変化なしだったり、悪い傾向にある回答も。

Q)主治医が就労について把握していると思うか?
A患者)「よく把握していると思う」と回答した割合が24%から15%に減少

Q)担当患者の就労状況を把握しているか?
A医師)「全ての患者さんについて把握している」と回答した割合が39%から23%に減少

Q)治療開始前に就労の状況や希望を話し合ったか?
A)「話し合ってない」との回答割合が2019年と全く変わらず、医療者側からの声がけの割合は増えていない結果

Q)仕事と治療の両立で問題となることは?
A)最上位は治療や副作用に伴う身体的不調、続いて職場理解、通院の時間確保などが挙がり、2019年と傾向は変わっていない。

Q)医師に最も期待することは?
A)就労に関して相談する機会の増加、有害事象の少ない治療選択肢、通院回数の少ない治療選択の提示、の3つが上位となり、2019年と傾向は変わっていない。

以上の結果を受けて池田先生は、臨床医の意識は依然不十分である、とし、知識とモチベーションの向上にはより多くの教育機会が必要である、と指摘されたとのこと。

ですが、2024年にはいよいよ医師の働き方改革がはじまります。

医師により多くの教育機会をとりたくても、なかなか難しい状況にあります。

働くことは、やはり生きるうえでの生きがいのひとつ。

がんになっても、治療しながら働けるということがどれだけ生活にハリを与えるかは、私も父の姿から学んでいます。

治療しながら無理なく働きつづけることができれば、介護が必要になるほどの心や体の弱りも、防げる面がありそうです。

その場合、介護と仕事の両立支援にも大きく影響があります。

そういった相乗効果を考えると、治療と仕事の両立支援は、待ったなしです。

となれば、医師や患者の当事者にこれ以上の負荷かかかるやり方ではなく、両立支援コーディネーターという第三者がはいれば、うまく進んでいくのではないでしょうか?

医師と患者の直接のやり取りは、知識の壁も大きく、患者がしっかり理解するまで医師がつきそうには、時間も人手もありません。

そこで、ある程度医療知識があり、患者の側にも近い両立支援コーディネーターがその仲立ちをする効果はかなり大きいものがあるのではと思いました。

私も両立支援コーディネーターの資格があるので、その活用方法を考えていきます。


◆学会発表内容についてはこちからから

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