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マイナ健康保険証の紐付けミス、厚労省からの説明に問題あり

先日、マイナンバーカードを健康保険証として利用しようとした際、別人の健康保険情報が紐づいていたことがわかった問題で、厚生労働省が公式な見解を発表しています。

これによると、ミスの原因は、
本来の方法(個人番号の記載がない場合には、4情報(氏名、生年月日、性別、住所)とは異なる方法で紐付けを行った
こと。

つまりは、個人番号(マイナンバー)の記載がなかったために、マイナンバー以外の情報で紐付けようとしたところ、4情報の完全一致を確認せずに紐付けてしまった、ということのようです。

また、この報告では、
4月14日には、通知を改正し、5情報(漢字氏名・カナ氏名・生年月日・性別・住所)が一致した場合にのみ資格情報を登録することを保険者に徹底したところ
とも書かれています。

ここには大きく2つの問題があると思いました。

1.マイナンバーを避けることが過ちを読んでいる

私が「わたし」であることの証明は、かんたんなようで、難しいことがあります。

たとえば、ついこの間まで騒がれていた「消えた年金」問題。

年金記録のずさんな管理が引き起こしたことではありますが、一面、昔の処理では同一人物てあることが確認できなかったことも原因です。

たとえば、「小谷 花子」さんが結婚でお仕事をやめ、苗字が変わって「大谷 花子」さんになり、引越しもして、しばらくたって再就職した場合。

「小谷 花子」さんの時代の年金記録と、「大谷 花子」さんの年金記録は、名前も住所も不一致なので、そのままでは同一人物として名寄せされません。

本当に苗字がかわったり引越しをしていればともかく、名前が「熊谷」で、会社によってクマガヤとクマガイと別の名前で登録しているための不一致や、住所が「字(あざ)」まであるフルの住所と、本人が簡略化して書いた住所での不一致などもたくさんあります。

それでは困るということで、年金については基礎年金番号が作られましたが、こういうことはあらゆるところで問題になっていて、雇用保険の雇用保険被保険者番号も同じ目的のためです。

こういった、同一人物かどうかのデータの名寄せのためにも、マイナンバーはあります。

今回の件も、マイナンバーを書いていれば起こらなかったかもしれない問題です。

ちなみにマイナンバーは、入力を一部間違った場合、12桁の最後の数字でチェックがかかることになっているため、まず、入力誤りで別人のマイナンバーで登録されることはありません。

マイナンバーを避けるあまり、逆にマイナンバーであれば起こらなかったはずの問題が起きてしまったと言えます。

2.厚労省の対策が対策になっていない

今回、厚労省は対策として、同一人物としてよい基準をより厳格にしました。

これまで
氏名、生年月日、性別、住所の4つ
が一致すれば同一人物としてよいとしていたところを、
漢字氏名、カナ氏名、生年月日、性別、住所の5つ
が一致して初めて同一人物としてよい、としたのです。

もしかしたら、氏名を漢字とカナとダブルにしてもあまり変わらないのでは?と思うかたがいるかもしれませんが、18万人社員がいると、そのうち、カナ氏名生年月日の一致は、じつはけっこうありえます。

でも漢字をくわえると、ハジメさんが「始」さんと「一」さんであることがわかったりして、正確さは増します。

なので、厳密にするのはよいのですが、問題は、今回の誤りが、4情報が一致したひとが複数いたことではなく、4情報の一部だけの一致で処理したことによる誤りだということです。

そういった運用のぶれは、手作業で行なっているからで、手作業で行なっているからには、4情報が5情報になったら確認対象が増えるので、もっと運用がぶれる可能性があります。

どうも、今回の誤りの本質と、対策が一致していないように思えます。

以下の記事によると、やはり、今回は同姓同名かつ生年月日まで同じ、までしか確認していなかったことがわかります。

マイナ保険証、真の問題は「誤ひも付け」ではない:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB151PL0V10C23A5000000/

厚労省は、マイナンバーのある意味をふくめ、もう少し本腰いれた説得力のある説明が必要なのではないでしょうか。

このアイキャッチは画像生成AIで作成しました。
プロンプト:マイナンバーって安全なの?と疑問に思っているひと

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