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フリーランスへの育児・介護の配慮義務、「6ヶ月以上」を正しく理解するnote739日目

2023年4月に成立し、2024年秋から始まる予定のフリーランス・事業者間取引適正化等法に関連して、法律のなかで「政令でさだめる」となっている具体的な内容が決まりつつあります。

ひとつは、フリーランスの育児や介護に対して発注者が配慮すべきなのは、契約期間がどのくらいの長さのフリーランスからなのか、ということ。

スポットですぐ終わる仕事であれば配慮の機会もないかもしれませんが、一定の期間長くお仕事するのであれば、配慮が必要なことも起こるかもしれません。

その一定期間が、厚生労働省の第8回「特定受託事業者の就業環境の整備に関する検討会」にて、「6ヶ月」となりました。
このように、報道もされています。

もとの法律には、こうあります。

(妊娠、出産若しくは育児又は介護に対する配慮)
第十三条 特定業務委託事業者は、その行う業務委託(政令で定める期間以上の期間行うもの(当該業務委託に係る契約の更新により当該政令で定める期間以上継続して行うこととなるものを含む。)に限る。以下この条及び第十六条第一項において「継続的業務委託」という。)の相手方である特定受託事業者からの申出に応じて、当該特定受託事業者(当該特定受託事業者が第二条第一項第二号に掲げる法人である場合にあっては、その代表者)が妊娠、出産若しくは育児又は介護(以下この条において「育児介護等」という。)と両立しつつ該継続的業務委託に係る業務に従事することができるよう、その者の育児介護等の状況に応じた必要な配慮をしなければならない。
2 特定業務委託事業者は、その行う継続的業務委託以外の業務委託の相手方である特定受託事業者からの申出に応じて、当該特定受託事業者(当該特定受託事業者が第二条第一項第二号に掲げる法人である場合にあっては、その代表者)が育児介護等と両立しつつ当該業務委託に係る業務に従事することができるよう、その者の育児介護等の状況に応じた必要な配慮をするよう努めなければならない

(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律より)

業務委託の期間について、法律は、
①政令で定める期間以上の期間行うもの
とし、さらに、
②当該業務委託に係る契約の更新により当該政令で定める期間以上継続して行うこととなるものを含む
としています。

つまり、この「政令で定める期間」が6ヶ月となるので、最初から6ヶ月以上の業務委託契約の場合は、最初から対象になります。

ここはわかりやすいのですが、おさえるべきは②です。

最初から6ヶ月ではなくても、契約を更新した結果、6ヶ月以上行なうことになるものも、対象になるのです。

それを、厚生労働省資料がこのように図にしてくれています。

通算しての契約期間が6ヶ月なくても、ブランクがあっても、最初の契約期間の開始日からカウントして6ヶ月経つときに再度契約していたら、配慮義務の対象になるということです。

細かな話ですが、大事なポイント。

この配慮義務は「特定受託事業者からの申出に応じて」という前提があります。

つまり、フリーランス(特定受託事業者)が申出することで、配慮義務が発生するということです。

育児や介護に配慮してもらうことが常態として必要な状況であれば、お仕事そのものをしない方も多いのではと思います。

お仕事をしているなかで、急にそんな状況になったときこそ、この配慮義務は必要になります。

契約開始から6ヶ月になるかどうかをしっかり確認しておき、必要な時は遠慮なく権利を使えるようにしておきたいものです。

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