見出し画像

最低賃金全国一律50円アップ目安はかなり苦しい、対策は助成金?

2024年の最低賃金、時給の最低額の引き上げ目安の方向性が固まったようです。

内容は、かなりの金額アップとなった昨年を超える、全国一律50円アップという結果になりました。

東京等の大都市圏では50円アップもそれほどではありませんが、時給が低めの地域でも50円というのはかなりの引き上げ率で、混乱を呼びそうです。

昨年はというと、大都市圏は41円、時給が低めの地域は39円と、ランク分けされたなかで金額は異なっていました。

これはあくまで目安です。
したがって、実際に各都道府県が決めた最低賃金は、この目安ぎりぎりのところもあれば、答申状況の「目安差額」をみればわかる通り、目安よりも8円も高く引き上げた佐賀県のようなところもあります。

ですが今回は50円という昨年を上回る金額となり、昨年独自に大きく引き上げた佐賀や島根の47円を上回る内容となっています。

どうしてそのように決められたのでしょうか?

厚生労働省の答申の資料では、以下の3つをベースに決めるべきとされています。
①労働者の生計費
②賃金
③通常の事業の賃金支払能力

①労働者の生計費については、消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)は、昨年10月から今年6月までで平均3.2%となるなど、昨年に引き続き高い水準となっていること。

また、生活必需品を含む「頻繁に購入」する支出項目に係る消費者物価も昨年 10月から今年6月までで平均 5.4%の高い水準であることから、それに近い引き上げをしなければとされています。

②賃金については、春季賃上げ妥結状況における賃金引上げ結果に関して全体で5%台と昨年を上回る 33年ぶりの高い水準となっていることや、中小企業については3%後半から4%台、有期・短時間・契約等労働者の賃上げ額については5%台後半の引上げでいずれも昨年を上回る水準となっていることなど、賃上げがだいぶ行われている状況が踏まえられています。

③通常の事業の賃金支払能力については、売上高経常利益や従業員一人当たり付加価値額が高い水準で推移するなど、景気や企業の利益において改善の傾向にある。
しかし、売上高経常利益率の大企業と中小企業の差が広がっていることや、価格転嫁率が示すように賃上げ原資を確保することが難しい企業も多く存在し、二極化の傾向にあり、小規模事業者は賃金支払能力が相対的に低い可能性があるとされています。

ですが、この①②③を踏まえた上で、特に今年度は消費者物価の上昇が続いていることから労働者の生計費を重視したとのこと。

とすると、生活必需品の物価が5.4%なので、それに近い賃上げを、ということで、昨年の1004円の5.0%、50円が基準とされたようです。

ですが、これは先ほども述べたようになかなか苦しい水準だと思います。

この金額の案を出した委員会は、政府に、以下の要望を出しています。

・生産性向上の支援については、可能な限り多くの企業が各種の助成金等を受給し、賃上げを実現できるように、政府の掲げる生産性向上等への支援や経営支援の一層の強化を求めること

・特に、事業場内で最も低い時間給を一定以上引き上げ、生産性向上に取り組んだ場合に支給される業務改善助成金については、最低賃金引上げの影響を強く受ける中小企業・小規模事業者がしっかりと活用できるよう充実するとともに、具体的事例も活用した周知等の徹底を要望すること

・非正規雇用労働者の処遇改善等を支援するキャリアアップ助成金、働き方改革推進支援助成金、人材確保等支援助成金等について、「賃上げ」を支援する観点から、賃上げ加算等の充実を強く要望すること

これらが叶えば、先ほど苦しい状況が予想される小規模事業者は、この助成金をしっかり活用していく必要があります。

助成金は事業主が自らやる以外は、社会保険労務士が行うものです。

その会社がしっかり賃上げに対応できるよう、助成金のサポートを手厚くしていくことが望まれます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?