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生活費を考える~社会保障審議会生活保護基準部会から #0074/1000

日本国憲法第25条には、「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあります。

国民が権利を有する、ということは、国としては「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する義務があるということです。

では、「健康で文化的な最低限度の生活」とは具体的にどういうものでしょう?

そういう生活を補償するための国の制度として、ぱっと思いつくのは「生活保護制度」です。

とすると、生活保護制度で保護される内容は、国がいま考えている「健康で文化的な最低限度の生活」とだいぶ近い基準なのでは、と推測できます。

では、生活保護制度で保護される内容はどうやって決まっているのでしょう?

厚生労働省は「社会保障審議会生活保護基準部会」において、生活保護基準を決め、見直し等を行っています。

先日5/27に行われた会議では「社会保障生計調査」をもとにしたこんな資料が公開されていて、「健康で文化的な最低限度の生活」とは何かのヒントになりそうです。

【資料1】過去の生活保護基準見直しの影響分析

内容は以下のとおりです。
1、食事の頻度は1日2回以上
2、肉・魚・豆腐などタンパク質の接種の頻度(毎日)
3、野菜の摂取の頻度(1日1回以上)
4、新しい下着の購入頻度(1年に1回以上)
5、必要な時に医者にかかれること
6、必要な時に歯医者にかかれること
7、炊飯器の保有
8、電気掃除機の保有
9、電話(固定電話)の保有
10、携帯電話(スマートフォン、PHSを含む)の保有
11、親戚の冠婚葬祭への出席
12、急な出費への対応
13、生命保険等への加入(死亡・障害・病気など)

ここには高齢者単身世帯の例をのせましたが、母子家庭や、その他の世帯の調査結果もあります。

それにしても、こういうカテゴリが「母子家庭」であって「ひとり親家庭」でないのは、父子家庭が調査の対象になるほど家計が苦しい世帯がないからなのか、存在としてあまり認知されていないのか、気になります。
(脱線でした)

項目を見ていると、その人によって、衣服より食事だったり、食事より通信費など、価値の置き方は違うと思いますが、それなりの時代の変化による傾向はあるように思います。

例えば、たんぱく質摂取が増えているとか、固定電話は持っている人が減っているのにスマホは増えている等です。

こうした傾向は、今の日本で生きていく上で何が必要とされているか、探るための材料になりそうです。

調査にももちろんバイアスはありますが、ライフプランを考える上ではこうした内容も積極的に役立てていきたいものです。

【参考:社会保障生計調査】
生活保護を受給している世帯の中から約1,100世帯を抽出し、1年間毎月家計簿を付け提出することで、生活保護を受給している世帯の家計収支の実態を把握する統計調査。


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