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変わりつつある長時間労働に年功賃金をキャッチする〜令和5年度年次経済財政報告-動き始めた物価と賃金-より

内閣府から、令和5年度の年次経済財政報告が公表されました。

サブタイトルは「動き始めた物価と賃金」。
国の政策であるデフレ脱却と賃上げに一歩近づいたような嬉しさを感じます。

資料は、国民総生産、GDP(Gross Domestic Product)からスタートし、グラフづくめ。

今回はそのうち、日本型雇用慣行の特徴といわれている、長時間労働と、年功賃金(在籍年数が長くなるほど賃金があがるしくみ)についてのグラフを見てみます。

このふたつは、日本に独特のものとメディアで言われることが多く、その印象があるかたも多いと思います。

ですが、今回、諸外国との比較でみると、あながち、そうとばかりも言えないことがわかります。

長時間労働者の割合は、数字でいえばアメリカとほぼ同じ。
ここでいう「長時間労働者」とは、国際労働機関のルールに沿ったもので、週49時間以上のことですから、9時から20時までの勤務を週5日するということです。

アメリカは週49時間近辺が多く、日本はそれよりももっと長時間が多い、ということであればこのグラフには現れません。

ですが、アメリカ他西欧諸国ぎほぼ横ばいなのに対して、韓国と日本の右肩下がりが顕著にことは言えると思います。

やはり、大きく変わってきているのです。

次に、年功賃金です。

勤続年数が長くなればなるほど右肩上がりにのるのは、日本だけではありません。

ドイツはかなり日本と近いところにあります。

ここも、明確なジョブをもたず、いろいろな部署を経験しながら同じ会社に長くいる日本と、ジョブが規定され、そのジョブで仕事をしていくことが多いと思われる西欧では、グラフに見えないところがあります。

ですが、「勤続年数が長いとお給料も高くなる」傾向は、日本特有のことではないということは言えます。

とはいえ、もちろん、長時間労働・年功賃金が長く続いてきた結果、日本の労働社会にあるひずみが生まれていることも確かです。

でもそれは「長時間労働」そのもの、「年功賃金」そのものが悪いわけではなく、そうなる根っこに日本特有のものがあり、変えていくべきなのかもしれません。

そんなことを考えさせる、経済財政報告でした。

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