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2024~2025 3歳クラシック血統分析(第7週) 2024/7/13 ~7/14

(有料noteとなっていますが、無料ですべてご覧いただけます。気に入った方のみ投げ銭という形でお願いします)

いよいよ今週から2歳重賞(オープン)が始まりました。第1弾函館2歳Sの勝ち馬はサトノカルナバルでしたが、この馬は6/22の新馬戦評価でも「S」をつけたようにレース内容、血統ともにずば抜けた内容を持っていました。

特に母リアリサトリスの持つNumber≒Nureyevの部分で名牝Specialをクロスさせるなど、凝った仕掛けを持つ配合。牝系も昔から連綿と続く優秀なもので、本来ならば1200mに出てくるような馬ではないはず。

ミオスタチンCC型ということで短距離にターゲットを絞ってきたようですが、果たしてこの決断が早計なものになるのか、それとも余裕をもって賞金を稼げたことになるのか。血統だけならばNHKマイルCぐらいは余裕で持つと判断していますが。

血統評価についてはリクエストも受け付けますので、「この馬の血統が知りたい」などのコメントを頂ければ幸いです。

※キタノクニカラの評価をB+ → B に変更しました。 7/24追記

◆7/13 福島 芝1800m新馬戦

・ニシノルプ(グレーターロンドン×サヤカチャン) 評価C

開催後半になって徐々に福島っぽい馬場の荒れ方になってきたので、この時期になるとタイムによる能力は悪は難しくなる。

父グレーターロンドンは産駒の距離適性がバラバラだが、要するにこれは「もまれない展開なら距離を問わない」ということ。また短距離戦では前崩れの展開が必須になるなど、気性のコントロールに難がある産駒を出す。なので強い馬は出にくい。

サンデーサイレンスの3x4を持ち近交の弊害が出てもおかしくないが、他に余計なクロスを持たないことでギリギリ弊害は回避している。父母間の配合は悪くないものの母の血統が弱く、これ以上の伸びしろは見えない。

上がり1ハロン:11.9秒
残400~200m:12.0秒
ラップ:37.9-36.0(後傾)

グレーターロンドン:短距離と長距離に成績が偏る不思議な種牡馬だが、これは「スピードが不足しているステイヤー種牡馬」に起こる現象。つまり短距離戦では後々伸び悩む。気性の強さはディープインパクト系には珍しいぐらいに備えているが、多頭数でもまれて良くなるタイプでもない。

◆7/13 福島 芝1200m新馬戦

・キタノクニカラ(ダノンバラード×キタノリツメイ) 評価B

母父アイルハヴアナザーのワンツーという珍しい結果となったレース。ダート向けの血統だが追い込みの方が向いている不思議な馬であり、その結果芝の短距離やダート長距離に成績が偏る特徴がある。今回のレースも前崩れ戦で、ダノンバラードというよりもアイルハヴアナザーの特徴が出たレースという感じ。

血統のメインは母キタノリツメイで、Caerleonにアイルハヴアナザーの血を集中させることで能力を引き出す形態。アイルハヴアナザーはNijinskyとの相性が良い。

上がり1ハロン:12.2秒
残400~200m:11.6秒
ラップ:35.9-34.6(後傾)

ダノンバラード:ディープインパクト系種牡馬にしては少数派の「闘争心が強い」タイプ。これはリアルスティールと同様で、いずれもダートでも好成績を挙げることに特徴がある。芝ではスピードが不足するが、ローカルではそのマイナス点が相殺される。馬場が荒れたら重賞でも戦える強さがある。

◆7/13 小倉 芝1800m新馬戦(牝馬限定)

・マジカルフェアリー(サートゥルナーリア×マニクール) 評価B

開催が進んだ小倉の芝としてはかなり優秀な上がり1ハロンタイムであり、爆発的な脚で一気に2馬身ちぎった内容からも能力に関しては間違いないと言える。

だがそれだけに配合内容が残念だった。Kingmamboの強いクロス自体は決して悪くはないのだが、そこにStorm Catのクロスまで入れてしまっては明らかに余計で、近親交配の弊害が出るレベルに至っている。爆発力はあるがそれを安定して発揮できる馬にはならないだろう。

サートゥルナーリア産駒も少頭数でやたらと強さを見せてはいるが、逆に言えばもまれるレースでは不安を覚える。

上がり1ハロン:11.4秒
残400~200m:11.9秒
ラップ:38.2-34.6(超後傾)

サートゥルナーリア:ゴール前でひと頑張りする闘争心は父からきちんと受け継いでいた模様。問題はそれを多頭数戦で発揮できるかにある。こうしたタイプは距離が伸びてマイナスになるケースがあるので、そのあたりの見極めも重要か。ただし今のところの傾向として、爆発力はかなり優秀なものがあるが少頭数の方が向きそうな感じ。

◆7/13 小倉 ダ1000m未勝利戦

・アメリカンビキニ(サートゥルナーリア×パリスビキニ) 評価A

未勝利戦だが、レコード記録レースだったのでこの馬も取り上げます。

ダート1000mというのははっきり言えば「強い馬が出てくることはない」レース。よってここでどんなに強そうに見えても決して高い評価を与えてはならない。本当に強い馬はどんなに短くても1400m以上で良さを発揮するもので、短距離はまぐれで勝てるレースと言っても言い過ぎではない。

よってレース内容は評価しないが、配合自体は非常に優秀。特に牝系がアーモンドアイと同じBest in Showの系統で、アーモンドアイ同様にBest in Showをクロスさせる内容。これはリバティアイランドとも一致する。母パリスビキニも父母の相性が完璧なハイレベルな構成で、この後距離延長で勝てるなら注目したい。

上がり1ハロン:11.4秒
残400~200m:11.9秒
ラップ:33.8-34.7(前傾)

American Pharoah:日本でもカフェファラオなどを出したように優秀な種牡馬であるが、その特徴として「自分勝手なレースをして、少しでも嫌気がさすとレースを投げる」というのがある。広いコースなら多頭数をこなすが、それ以外では少頭数の方がいいタイプ。よって格上げで脆さを見せることがある。

◆7/14 函館 芝1800m新馬戦

・アスクシュタイン(ドゥラメンテ×ヴィクトリアズワイルドキャット) 評価S

開催が進んだ函館コースで上がり1ハロン11.5は速い。逃げて楽に進めたレースのためだとは言えるが、それでも同じような位置にいた馬はすべて競り潰しており、今後に期待を持たせるには十分な内容だった。

配合は父母間、母内ともに祖母Flaming Mirageに血を集中させたもので、特にWoodmanを完全に生かし切った内容は相当レベルの高い配合と言っていいだろう。母系は少し弱い感じもあるが、緻密なクロスを作り出すことで字面以上の良さを秘めている。

レース内容からしてS評価とするかA+評価にするか迷うところではあるが、差す競馬もできる馬のはず。広いコースで爆発力を生かす競馬を見てみたい。

上がり1ハロン:11.5秒
残400~200m:11.7秒
ラップ:38.5-34.7(超後傾)

ドゥラメンテ:多頭数でもまれる展開に強く、一瞬見せる爆発的な脚もトップクラスという現代の最強種牡馬。闘争心とはまさにこの馬の産駒のためにある言葉。ただし弱点といえば長く脚を使わされる展開で、相手が弱くストレスが少ないレースになると他馬の後塵を拝することがある。だが本番では逆転する。

◆7/14 福島 芝1800m新馬戦(牝馬限定)

・ホウオウガイア(シルバーステート×センティナリー) 評価B

昔の福島コースと言えばまくり一発、というのが典型的な勝ちパターンだった。シルバーステート産駒はもまれ弱い欠点こそあるが、中山芝1600mのように4コーナーで一気に進出する競馬に非常に強く、ある意味福島コースに最も適した種牡馬とも言える。

得意の競馬を見せられれば2着を3馬身ちぎるパフォーマンスも納得がいくが、問題はその「楽な競馬」が次走できる保証がないこと。まくる競馬はもまれ弱さの証明でもあり、高く評価してはならない。

母センティナリーの持つシンプルなBold Rulerの生かし方が能力の源泉だが、父母間の血統自体はそこまで優れているわけでもない。得意条件では狙えるがそれ以上はなさそう。

上がり1ハロン:12.0秒
残400~200m:12.2秒
ラップ:37.4-35.6(後傾)

シルバーステート:長くいい脚を使えるのが最大の長所だが、多頭数でもまれる流れ、内枠でスムーズに運べないレースとなると長所が激減してしまう。相手が弱ければ何の問題もなく勝てるだけのポテンシャルはあるので優秀な種牡馬ではあるが、体力不足もあって上位では完全に止まる。

◆7/14 福島 ダ1150m新馬戦

・ケイアイマハナ(ダノンレジェンド×ケイアイデイジー) 評価C

ダート短距離戦にしては最後の1ハロンが速く、割と楽な展開で淡々と流れていたことがわかる。正直負荷が少なすぎるレースで、レベルは低い。そもそも福島1150m戦はまともな馬が選ぶコースではない。

父ダノンレジェンドはアウトクロスのため、母は少し近親度の強いタイプの方が合う。母ケイアイデイジーの血統構成は優秀だと思うが、この父に合うかと言えば違う。

上がり1ハロン:12.4秒
残400~200m:12.7秒
ラップ:37.1-37.6(前傾)

ダノンレジェンド:異系の父らしく勝負弱い感じが漂うので、上位戦線に入ると単純なスピードで押し切れる産駒以外は苦しくなる。人気のない混戦での一発を狙うのがベストの種牡馬。下級条件では安定する。

◆7/14 小倉 芝2000m新馬戦

・トップオンザヒル(エピファネイア×シンボリティアラ) 評価B

すんなり先行し、直線に入ってから外の馬が一気に襲い掛かってくるレース。どう見ても差されたというところからグイっと一伸び、さらにもう一頭襲い掛かってきたところをギリギリでしのぐという不思議な内容で勝ち切った。

一体どの種牡馬の産駒なのかと思ったら、まさかのエピファネイア産駒。「ちょっと負荷がかかると止まる」ようなだらしない産駒は出さないのが本当に素晴らしい。

サンデーサイレンスの血が多く入ってはいるが、近交の弊害には至らないレベル。ただ父母間の内容に比べると母の血が見劣りしているので、この後しばらくして頭打ちになるか。

上がり1ハロン:12.8秒
残400~200m:12.9秒
ラップ:38.0-38.4(フラット)

エピファネイア:持続する末脚がないために上がりタイムでは他の種牡馬よりも見劣りするが、一瞬で爆発的な脚を使えること、もまれる展開でも脚を使えるメンタルの強さがあるため多頭数の格上げ戦に強い。そのため格下では取りこぼすし、勝ち上がり戦自体は平凡なこともある。

◆7/14 小倉 芝1200m新馬戦

・ラブアイミー(サンダースノー×ラブカンプー) 評価C

不良馬場にしては前半も速く、その中を生き残った内容は見た目以上の強さがある。ただレースレベルが低調だったこともおそらくは事実で、血統内容から見ても今後芝のスピード争いでは見劣りすることになりそう。

母父ショウナンカンプよりも祖母ラブハート内のアメリカ系の血を生かした配合。ただいかんせん母系が弱すぎる。

上がり1ハロン:12.1秒
残400~200m:12.3秒
ラップ:35.1-36.2(後傾)

サンダースノー:デインヒル系ということもあり単純にもまれて弱い種牡馬化と思いきや、ダートの多頭数戦をものともしないだけのメンタルの強さを兼ね備えているようで、意外に面白い馬かもしれない。ただ粘り強さを持つということはスピードの不足も意味する。完全なダート向きで、芝は不良まで行かないと走れないかもしれない。

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「競馬最強の法則」にて血統理論記事を短期連載しておりました。血統の世界は日々世代を変えてゆくものだけに、常に新しい視点で旧来のやり方にとらわれない発想をお伝えしたいと思います。