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23-5-27 【絵本】デボラ・マルセロ『びんからだしてごらん』/子ども、思春期、大人、全ての世代に刺さる絵本

娘が産まれてから4年、娘と一緒にたくさんの絵本に出会ってきた。
出会い直しもあった。
絵本は何十年も愛され続けているベストセラーが多く、私が小さい頃に読んだ絵本がまだまだ現役選手として書店や図書館に並んでいる。
『からすのパンやさん』『だるまちゃんとてんぐちゃん』『ぐりとぐら』『ぐるんぱのようちえん』『しろくまちゃんのほっとけーき』など、幼い頃お気に入りだった絵本を娘が同じように気に入ってくれるのは嬉しい。

今回紹介したい本は、そのような古くからのベストセラーではなく最近翻訳された絵本だ。

先日、何気なく図書館で手に取った。
おそらく娘はそんなに興味を持たないだろうな〜と思ったので、とりあえず自分だけで読んでみた。
結論から言うと、めちゃくちゃ良かった。
自分の気持ちとの付き合い方、向き合い方を教えてくれる絵本だった。

普段、翻訳の絵本を読むことは少ないのだが、結構当たりが多い気がする。というか、当たりだからわざわざ翻訳されて別の国で出版されている、のか。

あらすじ
きもちに振り回されるのがいやなルウェリンは、わき起こるきもちをびんに入れてしまい込み、ついに何も感じなくなります。ところがある日、親友マックスの一言を引き金に、再びきもちがあふれ出し、しまっていたびんが割れて…。

Amazonより抜粋

瓶に気持ちをどんどん入れていくシーンのひとつにこういうものがあった。
音楽の授業で、音楽に合わせてルウェリンは踊り出すが、踊ったのは自分だけ。みんなの呆れた顔を見て、ぼく、ばかみたい…、とうきうきした気持ちを瓶に押し込むルウェリン。最後には、音楽が鳴っているのに知らん振りして座ったままのルウェリンの挿絵。

なんだかすごく懐かしい気持ちになった。
誰もが経験したことがあるのではないか。
本当はとっても楽しいのに、踊り出したいくらいなのに、周りの目を気にしてその気持ちを無いものにしてしまうこと。
自分の素直な気持ちをそのまま表に出すのが、恥ずかしい時ってあるよね。特に周りの目が気になり出す思春期なんかには。大人でも、あるある。


その後、どんどん色んな気持ちを瓶に入れて仕舞っていくルウェリンの呟きにドキッとする。

「……だって、つよい  きもちは  やっかいだから」

そうだ。プラスであれマイナスであれ、強い気持ちって厄介なものなのだ。持て余すこともあるし、周りの人に笑われたり呆れられたりすることもある。
全部無かったことにして仕舞ってしまえば、平穏な日々を送れるのではないか?
そう思う子ども、いや子どもに限らず思春期の子や大人も多いかもしれない。


地下室が瓶でいっぱいになり、ある日とうとう割れてしまう。
その後、ルウェリンがどのような成長を遂げたかは是非絵本を読んでみていただきたい。

強い気持ちとどう向き合うか。
その姿に、私は心底グッときた。

子育てをしていると、思い通りにならなくて強いイライラに支配されることがある。
そんな、目を背けたくなる自分の感情とどう向き合えばいいか、ルウェリンが教えてくれた。

この本は図書館に返却しなければならないので、購入することに決めた。
手元に置いて、時々読み返したい。



おしまい

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