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マンガ『アンゴルモア 元寇合戦記』は元寇をエンタメにした傑作

『アンゴルモア 元寇合戦記』全10巻、読了。

鎌倉時代の元寇といえば、神風で侵略を免れたことで知られるが、最前線となった対馬では、蒙古軍との激しい戦闘が繰り広げられていた。

国防のために奮闘する対馬の人々。史実から着想しての壮大なストーリーで一気に読むことができた。

元寇前に国内で起きていた「二月騒動」や、安徳天皇の生存説なども巧みに取り込み、単調な攻防戦に終わらない工夫が随所になされている。また、蒙古の軍勢が一枚岩ではなく、モンゴル軍と高麗軍の寄せ集めがゆえの弱点も描くなど、神風神話に終わらない元寇という点でも興味深い。

そのほか、刀傷を治す金創医の存在や、女性でも用いることができる武器「石はじき」の使い方、そして対馬で行われていた亀の甲羅を使った占い「亀朴」など、戦争をサポートした人や武器、背景の風習などまできっちり押さえており、歴史を学ぶ楽しさを存分に教えてくれる。

日本史のエンタメ作品として一級品じゃないだろうか。戦国時代でも、幕末でもなく、鎌倉時代というのがまたよいよね。



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