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妊娠記録-vol.6 無痛分娩体験記録 -

2022年2月2日真夜中
37週4daysで男の子が産まれた。

自分のお腹の中から出てきた息子を見た時、本当に驚いた。
自分とは違う別の生命体が腹から出てきたという事実に。

赤ちゃんが出てくる最後の最後まで、10カ月かけた壮大なドッキリをしているような気がしていたのかもしれない。

それだけ衝撃的で神秘的な体験だった。


さて、そんな私の出産体験を忘れないうちにここに残しておこうと思う。

2022年2月1日午前 病院の目の前で破水
早朝からちょろちょろ破水が始まり、緊急に外来を受診すべく病院の目の前にきたところで盛大に破水してしまい、そのまま10日ぶりの再入院となった。

2022年2月1日午後 再入院
母に入院手続きを済ませてもらい、久しぶりの病室へ。
破水すると24時間以内に陣痛が起こることが多いが、もし起こらなければ、翌早朝より陣痛誘発剤を投与すると説明を受けた。

我が子は夜行性なので、絶対来るなら夜だろうなと思いつつ、全くその気配がないので、余裕綽々で友人たちと破水エピソードで盛り上がって過ごした。

2022年2月1日22時半 陣痛の影
病院の夜は早い。21時に電気が消える。
仕方がないので横になってうとうとし始めた。

すると突然、体感覚的には和太鼓のような振動が下腹部に2発轟いた。
一瞬のうちに全神経が覚醒した。

多分今の、胎動だ。
にしても、なんだあの痛みは。

まるで水面にクロコダイルの魚影を見てしまったかのような、不気味さを感じた。
これがもしあの陣痛ならば恐ろしいことになる。という絶望的な予感を味わった。

そうこうしてるうちに最初の2発ほどではないが、重めの生理痛のような痛みが度々走るようになった。
試しに陣痛カウンターを使ってみたところ、スタート時点で10分を切っていた。

最初から10分切ることある??
とびっくりして、LINEで経験豊富な友人たちに相談してみる。
ナースコール押してみ!と背中を押された矢先、グッドタイミングで巡回に来てくれた助産師さんに相談してみた。

2022年2月1日23時 陣痛室へ
すぐさま判断してくださり、陣痛室へ移動してそこで一夜を過ごすことになった。
荷物を持って陣痛室にたどり着くや、お産がどれだけ進んでいるか確認するため内診となった。

もう7cm開いてた。

言うてる間にあれよあれよと陣痛がひどくなった。やっぱりあの影はクロコダイルという名の陣痛やったか。

陣痛は、声を出そうがのたうち回ろうが、一度見つけた獲物を逃すことなどない。
逃げ場のない痛みに助産師さんからの言葉も耳に入らなくなってきた。

子宮口の開きと私の痛がり方を見て、無痛用の麻酔を打つことになった。
無痛分娩の麻酔は背中に通した管から入れるため、またもやお部屋移動。

今度は分娩室へ。
そういえば陣痛室にいたの20分くらいだった気がするな。。

2022年2月1日23時半 麻酔投与
私の入院先の病院は、麻酔科の先生が常駐してくださっている。そこがこの病院で無痛分娩を選んだ最大の理由なのだが、その日はさらに良いことになんと産科専門の麻酔の先生がたまたま当直でいらっしゃった。


途中何度も陣痛の波に中断されながらも麻酔が入った。
背中の注射は、多分3回くらい。
最初の針で背中麻酔のための痛み止めみたいなのを打たれるので、チクッとした痛みがわずかにあるくらいだった。陣痛を経験してる身からすればそんな痛みなど余裕なのだが、陣痛の波と微妙にかぶったので、動かずにいるのが辛かった。

最初こそ陣痛のえぐさに効いてないやん!!って思ったが、気がつけば、え?今陣痛来てるんですか?と尋ねるほどの平和が訪れていた。

ちなみに、その頃、麻酔科の先生は私には神様と同列に見えていた。


2022年2月2日1時半 いきみ合戦

麻酔が効き始め!子宮口が10センチになった,
そこから怒涛のいきみ合戦が始まった。

何たって陣痛の痛みは全くない。
全神経をいきみに費やすことができるので、つるんといくなと思った。

甘かった。

いきめどもいきめども道は進まじ。
無痛だからか力を入れるポイントの感覚が分からず、助産師さんに手を突っ込んでもらっていきむ方向をガイドしてもらいながらの戦だった。

最初は私とガイドの助産師さん2人っきりでの合戦だったが、赤ちゃんが下に降りてくるにつれ、1人、また1人と増え、最終的には3人の助産師さんと産科医さんという最終形態になった。

その間、陣痛を促す=女性ホルモンを促すために両方のおっぱいを両サイドにいる助産師さんに揉まれ、下はメインの助産師さんに手を突っ込まれながら、「そうそう!今のいきみ方上手ー!!」と三方向から励まされるというなんだかおもしろい光景が広がっていた。

バースプランにとにかく励ましてくださいとリクエストして良かった!


2022年2月2日3時半 爆誕
と、突然、スタッフさん全員が「頭がほらっ!」と言い始めた。
「え?頭がどうしたん??」ときょとんとしていたら、「股の方見てごらん!」と言われた。
出てくるのか?と思いつつも、つるん出た感覚がなかったので、そんなまさかと思っていた刹那、へその緒のついた赤ちゃんが目の前に現れた。

自分の中からこの赤ちゃんが出てきただと?
にわかに信じられない光景だったが、精巧にできたその赤ちゃんのような人形は目の前で泣き始めた。その動きの精密さたるや、生きているとしか思えなかった。

本当に生まれたんだ。

信じられないが目の前の現実を受け入れざるを得なかった。

こうして、
初産にして5時間のスピード出産はここで幕を閉じた。

こんなに爆速で産まれたのも、息子の頑張りはもちろんのこと、麻酔という人類の叡智と、そして何よりも、つきっきりで優しく丁寧に導いてくださった母なる存在、助産師さんのおかげだ。

息子よ!

産まれて来てくれてありがとう。  
私を母にしてくれてありがとう。
これからよろしくね。

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