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「ギャラリーの人」として、思考と行動を変えてみた。🖼️

先月、11/29にアーティストの川内理香子さんをお招きしてART TRAVELER Communityの主催イベントをFARO中目黒で開催。

photo by satoshi sakai
220名のコミュニティメンバーから30名が参加!



「川内理香子さんを筆頭に、10年後のみなさんが楽しみですね」


すべては、この一言からはじまった。


今、私は ART TRAVELER というアートメディアとコミュニティを運営していて、周りには多才な方で溢れている。「きっとあの人はものすごく有名になっているはず」と、思える人たちの10年前から知り合えているというような、未来が楽しみな状況だ。


10年以上先を生きてきた先輩方の横のつながりを見ていると、大抵は有名になってから繋がったというよりも、「昔からの知り合いでね」ということの方が多い。お互い無名の時代から、近いようで少し遠い絶妙な距離から切磋琢磨してきたのだろうと想像する。そんなことを思いながら、私自身はどうなのだろうと。短距離走の積み上げ型で日々を大事に生きてはいるけれど、10年後の自分が見えていない。


そんなことを思いながら、ART TRAVELERを一緒に運営している酒井聡さんの10年後を想像して「作家大先生になっていそうですね」と返信をした。


「まゆさんは、アート界の〇〇さん(※別業界のスピーカーで文化人な方)的ポジションですかね。」


サトシさんはこの話題をスルーせず、自分の方向にも持っていかず、私の欲しかったボールを返してくれたのだ。私はすかさず、最近の悩みであった「私はどうしたら…..」問題をこの件に絡めて聞いてみた。


「私はどんなスキルを強化したら、アート界のポジションを作れるでしょうか。」


私とサトシさんの関係性は、のび太とドラえもんに近い。ドラえもんからのお節介的なことはないけれど、のび太が困っていればポケットから秘密道具が出てきたり、先が見えるようなライトを照らしてくれる。それも、かなりフラットな視点で相手目線なので、聞いてしまったがために掻き乱されるようなこともなく、安心してアドバイスをもらえる尊き存在なのです。

・ART TRAVELERのブランド化に向けても、時間とお金を私自身のスキルアップに使いたい

・アートの見た目(外側)ばかりを追いかけてきたので、中身を知りたいと思うものの、アート業界の人ほど詳しくなれなさそうなので、そこに費やすのも意味はない気がしている

・そうはいっても、サトシさんのようにアーティストさんと深い対話ができるような知識は欲しい

・アートの世界をなんとなく現地から知ることはできたが、ここからの掘り方に悩んでいる

・(元アパレル販売員として)セールスが得意なので、アートの知識を身につけて、アーティストとアートが欲しい方との会話ができるようになれば、在庫を抱えずにもアートディーラーになれる気がする

まゆのLINEより

いつもの如く、私はサトシさんに一方的なメッセージを送り続けた。

・KPI設定とそれを守る部分がまゆさんの強み
・長期的に見てもそこを活かせる設計が良さそう
・人と話すことも嫌いじゃないと思うので、そこも
・アーティストさんや作品をプレゼンテーションする役割が必要
・レセプションの集客が苦手なギャラリーやギャラリースタッフのコーチングができる人が少ない

サトシさんのLINEより



「週に1度、ギャラリースタッフをやってみて、実績を作ると強いんじゃないですかね?」


とても面白い発想だった。

何か本を読んだり、講座を受けること以外、ここから先アートを学ぶ手段を考えられていなかった。アートメディア・アートコミュニティを運営する中で、少しはアートな人になれたような気はしていたけれど、足りなかったところはまさにそこだと・・!


早速、どんなギャラリーで立ちたいかを自分で考えた。その上で現代アートギャラリーとして大きく分類すると2つに分かれるかと思う。

①海外のアートフェアでの活躍や良質なコレクターとのつながりと広がりの点で日本の有名なギャラリー。(TARO NASU ギャラリーを想像。世界のアートフェアに参加するたびにいつも見かけていて、所属アーティストの作風も私の好みにマッチしている)

②セールス実績の出やすさで考えると、手の届きやすい価格の作品を取り扱い、知名度がそこまでないギャラリー。

「サトシさん、どちらが良さそうですかね?」

①固定客がいるためホスト仕事になりそう。バリューを出す余地がない
②人手が足りていない中小規模が良いのでは

というご回答。

②の方向性に確定し、もう1段階考えると、3つ目の選択肢が出てきた。

中小規模ギャラリーは人通りがなさそう(新規のお客様に出会えなさそう)なので、アートカフェもありですか?(ルーフミュージアムも良さそう)

「それはカフェ店員になると思うので、他スタッフさんのアートの知識レベルが低いはず」

またもや、100点の回答を頂戴しました。
一瞬守りに走った自分を反省し、②の中でギャラリー探しを始めます。

普段インスタでフォローしているギャラリーではなく、私自身がよく歩いている銀座か東京駅周辺でGoogleマップから探しました。アルバイト系のサイトなどでもいくつかギャラリースタッフ募集はありましたが、スタッフの手が足りてなさすぎるような商業的すぎるギャラリーも今回は該当ではありません。

この絞り込みから適性なギャラリーを見つけ、「明日、早速行ってきます!」とサトシさんに報告。


翌朝。決めたギャラリーに少しだけしっくりきていない自分いたので、新たにそのエリア付近をGoogleマップで再検索。

昨日は見つからなかったのに、ここだという場所を発見!それが、京橋にある ROD GALLERY

「ROD GALLERY」は、もともと画廊だった場所をリニューアルしたコンテンポラリーギャラリー。

ディレクターの藤田つぐみさんは、東京藝術大学大学院を修了し、現在は作家活動の傍ら京都芸術大学にて専任講師をされています。学部の頃より、多次元世界や感覚など他者と共有しがたい領域を視覚化し、イメージに置き替えることをテーマとして絵画制作をされながら、新しいことへの興味・関心が深く、画廊の新しいオーナーさんからROD GALLERYのディレクションのお話を伺った際に、その道にも挑戦されるというバイタリティも魅力的!!

中学時代からのご縁がきっかけで、お母様は芸大の日本画出身、ご本人は漫画家でもある川本響子さんと共に2年かけて準備してオープンされたというストーリーにも惹かれ、まさに今回、私が修行させていただきたい道を歩まれてきたお二人であることと、ROD GALLERY のインスタのフィードを見ながら印象に残った蛍光感のある色のトーンとポジティブな世界の広がりを見て、こんなワクワクするギャラリーは東京で見たことない!と思い、こちら一択となりました。

ROD GALLERY のインスタフィードにて
次回チーム展のキーヴィジュアル

さらには、次回の展示が「INSIDE」という、自分自身にも常に抱えるテーマであり、キービジュアルも抽象感全開で私の好み…….!と、はやる気持ちも収まり切らず。この個展の期間内に、3日間の3時間立たせてもらうことをアポ無し訪問で、ギャラリーへお邪魔させていただきました…..!

ROD GALLERY と初対面

中には誰もおらず。ひとまず一周。
それでも、誰も出てこられないので、一枚写真を撮り、入り口にあったプライスリストを眺めながら、ここで出てしまったらゲームオーバーになるのか…..なんて思っていたら、中から例の川本さんがご登場..!!

「インスタなどで知られたんですか?」
などといった質問をいただき、そこからROD GALLERY を知った理由から ART TRAVELERを含む私の活動を話しつつ、最後に「立たせてもらえませんか?」と、直談判!

資料も履歴書もないなかで、私のお話しだけを信じてくださった川本さんは、「いいんですか?」と驚きながらもありがたいお言葉をすぐにくださって、「たまにこういう熱心な方が突然このギャラリーに現れて、今年3人目ですかね..」というような興味深すぎるエピソードも聞かせていただきながら、その場でご了承をいただくことができました…!!

そんな喜びも束の間。さすがにディレクターの藤田さんとの面会やお話もできていなかったので、川本さんより藤田さんとの面談も念の為お願いしますとご連絡をいただき、適性を見させてもらえたらと….と、
お目当てのチーム展が始まるインストール日に藤田さんと初面談となりました!

お話をじっくりと聞いてくださって、「後は川本さんと日程を決めてください」と合格をいただけて、発信も是非してくださいと言っていただけて、インスタ・スレッズで張り切って告知!

告知して、集客につながればそれで終わり….というわけではなく、ギャラリースタッフの皆さんは、当然取り扱い作家さんについての情報は詳しく持っているわけです。今回私のミッションとしては、自分の解釈で話さないこと。ということは、知識で勝負になります。作家さんの考えを話すということは、教科書を覚えることにも近い仕込みが先にあり、作家さんが作品に込めた思いや言葉、制作過程、素材、今までの傾向からの今回の作品の位置付けなどを知った上で、鑑賞者の方の質問から対話しつつプレゼンをする。という翻訳機能を果たすことがギャラリースタッフの仕事だと思っているからです。

自分の感性だけで、ギャラリーに立った場合は、鑑賞者と鑑賞者の会話となり、アートには正解はないですが、作者との対話が結局できていないということになります。今回、立たせていただくまでに作家さんと直接お話をさせていただける時間がなかったので、ディレクターの藤田さんと川本さんのお二人に各質問を考えてその内容に答えていただきながら、今回の4名のアーティストさんについて教えていただきました。

アート鑑賞をするということと、ギャラリースタッフとして各作品について伝えること というのは当たり前ですが、全く別の頭を使っていて

私が苦手だと感じていた、各作家さんとの深い対話というのは、自分自身の鑑賞能力の高さを上げるということ以上に、どこまで1人の作家さんに対して調べ尽くせるか、たくさん話をお聞きして、その方の本質を追求できるかがまず先にあり、その後に自分の得意とする、相手の考えに合わせてわかりやすい言葉で伝えることにつながるのではないかと、自分なりの解釈ですがそこに辿り着きました。

アートを観る目を養うために、たくさんの作品を見続けることも大事ですが、生まれてきた環境や各自の経験による視野の広さなどからも、作品から受け取る解釈の幅に影響は出るため、好みが偏ったり、表面だけをすくいあげてしまうことが多くある気がしているので、深く鑑賞してみたいとなると、結局は作家さん1人1人と向き合うことが作品を観る目に繋がったり、各個人の視野や世界が広がるのではないかと、ギャラリースタッフとして立つ前からそんなことを感じました。

ギャラリースタッフ(仲介者)は事前知識と鑑賞者に合わせた伝え方がベースにあり、本人の解釈で話しているわけではないということも今回の経験をいただける上の事前準備で気づくことができた内容になります。


そして、ついに迎えたギャラリースタッフとしての初出勤日!

ART TRAVELER Community の皆さんが来てくれました📸
平日の14:00から17:00の3時間、たくさんの方が..!!
アーティストのMANABU KISHIMOTOさんとJiróさん
(作品は、角谷 沙奈美さん)
河野さんがケーキをお待ちくださってみんなでカフェタイム
(手前の作品:稲垣 美侑さん  奥の作品:西久松 友花さん)
内海 紗英子さんの作品と共に


たくさんの方が来てくれて感謝の気持ちの中、

ギャラリーの人にしっかりならなくては..!!

という意識で立っておりましたが、川本さん(ギャラリースタッフ)の説明とコミュニティメンバーのみなさん(鑑賞者)との会話のテンポが素晴らしく、私は結局まだ、ギャラリーの人にはなりきれていないまま初日を終えることとなりました..!

川本さんの元で立たせていただけたことが本当にご褒美です


しかしながら、今回の「ギャラリーの人として」の貴重な時間は、後2日の6時間しかありません..!

お越しいただけた方と仲介者としての会話を通して、「この作品をお迎えしたいです!」という奇跡の出会いの瞬間を迎えられることを目標に、残りの時間を楽しみながらも各4名の作家さんの生み出された作品の魅力や作家さんの背景をお伝えさせていただけたらと思っております!

ROD GALLERY で立たせていただける日時は下記になります。

12/15(日)13:00~16:00
12/21(土)13:00~16:00

私のおすすめは、こちらの作品です🕊️

稲垣 美侑
角谷 沙奈美


2024年を締めくくる、アートな時間にいかがでしょうか?

いつもアート巡りをされている方も、はじめてアート巡りをしてみるという方も、ここで合流できたらと思っています。

是非、お気軽に遊びに来てください🕊️✨

住所はこちらから↓


そして、ドラえもん的存在である ART TRAVELER 運営の相方、サトシさんのアート連載が本日からNewsPicksで始まりましたので、こちらもぜひチェックしてみてください!

ART TRAVELER
艸谷 真由

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