いい子ちゃんへ(松岡圭祐『水鏡推理IV アノマリー』(講談社、2016))*51

今回のことばは、親の期待に応えようと必死になっている人に読んでいただきたいです。

親は子供を愛するだけで幸せを感じる、その事実だよ。子供が理想通りに育って、将来恩がえししてくれなきゃ意味ないなんて、正しい親は思わない。ただ子供を愛せれば、すべて報われた気になるんだ。きみらがどう行動しようが問題じゃない」

347ページ
(文庫本で読んでいます。)

この事実に、私も子どもの時に気づいていたら…と思っています。
父親の口癖は、「俺が養ってきてあげた分、将来、〇〇に面倒見てもらおう、養ってもらおう。」「俺が色々なところへ連れて行ってあげた分、将来、〇〇にハワイ連れて行ってもらおう」です。この言葉に、正直家族全員うんざりしています。冗談だとは言いますが、冗談だとは思えないくらいの回数、事あるごとに言ってきます。だから、このことばをメモしておこうと思ったのかもしれません。
推理小説の中に、なぜこのことばが出てくるのかと不思議に思った方、この本を読んでいただいて確かめていただけたらと思います。うまくまとめられないくらい、複雑なストーリーだからです。トリックがメインのストーリーであるはずなのに、人間らしい一面にも焦点が当たる小説です。このことば以外にも、私がメモした箇所がたくさんあるので気になった方は、344〜353ページを読んでいただきたいです。こちらは4巻目ですが、一巻ずつで完結する内容なので、どこからでも読み始めることができると思います。

松岡圭祐『水鏡推理IV アノマリー』(講談社、2016)


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