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木をきざむ

「木をきざむ」

建築業界で初めて事務をさせていただく私が出会った言葉。

「さっき、きざんだから」「今夜きざまなきゃな」

よく出てくるのにイメージがしずらいこの “きざむ“。一体どのような意味なのでしょうか。

“木をきざむ“は、どんな意味? 

新しい業界に入り、知らない言葉が飛び交います。その中でも毎回のように聞く
“木をきざむ“ 

きざむ?千切り? まさか。いくらなんでも木をせん切りにはできないでしょうし。。。

話を聞く回数を重ねるごとに「何やら木を形作ることらしい」とぼんやりとイメージができてきました。が、今だにあいまい。これは知りたい見たい。

そんなある日、「木をきざむ」現場でお話を聞くことができました。


“きざまれた“木

「今、土場で木をきざんでる」

大工さんにそう聞いて

「“きざむ“ところ見たかったんです!すぐ行きます!」


写真はイメージです

土場に着くと、お一人は何やら機械を使い木に穴を開けている。


四角く穴が空き、その後整えていました

代表は設計図を見て角材に次々と線を書いていく。


角材に書かれた線

この角材に削るガイドになる線を書くことを

「墨付(すみつけ)」

と言い、 木材の角材面に切ったり、削ったりする基準となる線や記号をつけていました。

その時に使っていた道具がこちら


指矩(さしがね)

こちらの指矩(さしがね)、なんと中国の春秋戦国時代(B.C.770〜220)に魯班という方が発明したとか。

日本に広めたのは聖徳太子(574〜622)というから、歴史の古さに驚きます。

この何の変哲もない直角の定規のようなものですが、調べるほどに万能。色々な使い方があるそうです。

例えば、丸太から取れる最大の角材の大きさを測ったり、円周率が分かるそう。また指矩の直角部分から等しい長さで印をつければ90°、1:2で辺の長さを設定すれば60°&30°の角度で線をすぐに引けるとのこと。

さらにすごい!と思ったのが、勾配の角度をこの指矩一本で墨付できること。

三角の底辺と長さが分かれば、斜面の長さを底辺2乗+長さ2乗=斜面2乗(A2+ B2=C2)で出すことができるので、

それで角材の長さを決めて

さらに底辺と長さの比率と同じ長さで指矩の2辺を当てれば、作りたい勾配に合わせて斜めの線を引くことができるそうです💡

文字だと何のこと??ですよね!私はこちらのサイトを参考にさせていただきました。
BIG大工第一BASE

当時は大工さんの言っていることがさっぱり分かりませんでしたが、出た斜面の2乗数値を√を使って1乗にして、必要な木材の長さを計算していたのだと思います。

後は、この指矩の持ち手部分を少し角材に降ろして、直角に線を引いたり、滑らせて線を引いたりしていました。

それらの作業を平面の設計図を見ながらスラスラ書いていくので、見ていてそれはそれはあざやか!


墨付された角材

さらに組み合わせる他の角材との接点を「いろは」と「数字」の記号でつけていきます。


きざみ途中の角材差し込む部分と差し込まれる部分

四角い角材が、墨付されて、きざまれて、形ができ上がっていくのがとっても面白い!

平面からいきなり立体をイメージした墨付をしていく姿が何よりも感動でした。ここまでできるようになるのに、一体どれくらいの経験を積んできたんだろう?

「こういうのを技術とかわざと言うんだな」

職人さんを尊敬します。

後日、現場で組みたてられた木材。


現場写真

ちゃんと斜めに、それぞれの角材が組み合わさっている。。。

ここまでの工程を見てきたので、どの継ぎ目にも斜面にも感動します。

こんなことが当たり前にできるんだな。本当にすごいな。

いつか、コンクリートの土台から建物が出来上がるまで、現場に張り付いて、木を刻む場面も見届けて、最初から最後までどうしたらこんな正確に出来上がるのか、その過程を知りたい。と、この先が楽しみな出来事でした。

ご縁があって始めた大工さんの事務ですが、新しい世界を知れて幸せです。

これからも、大工さんたちの素晴らしいお仕事をご紹介していく予定です。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

宮田

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