私の読書遍歴 『谷中レトロカメラ店の謎日和』
実家に帰省して、懐かしい本を読んでいる。
最近みているYouTubeチャンネルのおかげで、
自分の中の読書スイッチが押された。
正直、レポートのために読みたくない本を読む必要があるし、テストに向けた勉強もしなければならないのだが、やはり読み始めたら止められなくなってしまうものだ、と思う。
シリーズ物を一つ読み終え、次に手に取ったのは
『谷中レトロカメラ店の謎日和』
作者は柊サナカさん。
以下はあらすじ。
当時中学生だった私は、この本でカメラに強く興味を持った。
今でも写真を撮ることは好きだし、誰が撮るか、誰を(何を)撮るか、どう撮るかの関係性はこの本で学んだ。これからも大事にしたいと思う、カメラと写真への向き合い方だ。
また、田舎に住んでいたため、「谷中」という街にも憧れを抱いた。それまで名前も知らなかった。キラキラしたイメージの東京にも、レトロな下町なんてものがあるのだと知った。
この本は短編連作となっており、全部で三巻出版されている。
全てを読み終えた時に居ても立っても居られなくなり、ツイッターで柊サナカさんへとんでもない長さの感想を送った記憶がある。
そのアカウントは既に消してしまった。
でも、返信がきた時はとても嬉しかった。
自分の感想で喜んでいただけたことも勿論だが、まさか、本を書くことを生業としている方とやり取りが出来たこと、心を通わせることが出来た(少なくとも私はそう思っている)こと、自分の「好きだ」という気持ちが確実に伝えられたこと。
大学生になり上京した。それなりに忙しく、しかし自由に日々を過ごしていたが、ある日思い出したように「谷中へ行こう」と思った。
本のコースとは違う道のりを歩いた。谷中銀座商店街でメンチカツを食べた。夕焼けだんだんからみえる景色は曇りだったけれど、それでも好きになれる景色だった。授業でも出てきた根津神社にも行った。
大学生活も一人の暮らしも大変だけれど、こうやって憧れの街へ行けるというのは大きな喜びだった。
そして、本を読んでいる。
あの頃と同じ、ほわっと、温かいものが胸に広がる。ちょっと違う視点からも読めるようになった自分に成長を感じる。引っ越しには連れて行ってあげられなかったけれど、本棚でしゃんとして、この日を待っていてくれたのだと確信する。
読書が好きな私の読書遍歴には、欠かせない一冊だ。
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