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私の読書遍歴 『谷中レトロカメラ店の謎日和』

実家に帰省して、懐かしい本を読んでいる。

最近みているYouTubeチャンネルのおかげで、
自分の中の読書スイッチが押された。

正直、レポートのために読みたくない本を読む必要があるし、テストに向けた勉強もしなければならないのだが、やはり読み始めたら止められなくなってしまうものだ、と思う。

シリーズ物を一つ読み終え、次に手に取ったのは

『谷中レトロカメラ店の謎日和』
作者は柊サナカさん。
以下はあらすじ。

東京下町の風情残る谷中にたたずむレトロカメラ店・今宮写真機店。中古のクラシックカメラを専門に扱っている三代目店主の今宮龍一とアルバイト山之内来夏の元には、さまざまな客が謎を運んでくる。カメラの修理も得意とする今宮は「修理の基本は観察です」と言い、鋭い観察力と推理力で次々と謎を解いていく――。数々の魅力的な名機とカメラを愛する人々が織り成す、心温まる連作ミステリー。

https://tkj.jp/book/?cd=72456101  宝島社 谷中レトロカメラ店の謎日和 2023/12/30閲覧

当時中学生だった私は、この本でカメラに強く興味を持った。
今でも写真を撮ることは好きだし、誰が撮るか、誰を(何を)撮るか、どう撮るかの関係性はこの本で学んだ。これからも大事にしたいと思う、カメラと写真への向き合い方だ。

また、田舎に住んでいたため、「谷中」という街にも憧れを抱いた。それまで名前も知らなかった。キラキラしたイメージの東京にも、レトロな下町なんてものがあるのだと知った。

この本は短編連作となっており、全部で三巻出版されている。
全てを読み終えた時に居ても立っても居られなくなり、ツイッターで柊サナカさんへとんでもない長さの感想を送った記憶がある。

そのアカウントは既に消してしまった。

でも、返信がきた時はとても嬉しかった。
自分の感想で喜んでいただけたことも勿論だが、まさか、本を書くことを生業としている方とやり取りが出来たこと、心を通わせることが出来た(少なくとも私はそう思っている)こと、自分の「好きだ」という気持ちが確実に伝えられたこと。

大学生になり上京した。それなりに忙しく、しかし自由に日々を過ごしていたが、ある日思い出したように「谷中へ行こう」と思った。

本のコースとは違う道のりを歩いた。谷中銀座商店街でメンチカツを食べた。夕焼けだんだんからみえる景色は曇りだったけれど、それでも好きになれる景色だった。授業でも出てきた根津神社にも行った。

大学生活も一人の暮らしも大変だけれど、こうやって憧れの街へ行けるというのは大きな喜びだった。

そして、本を読んでいる。
あの頃と同じ、ほわっと、温かいものが胸に広がる。ちょっと違う視点からも読めるようになった自分に成長を感じる。引っ越しには連れて行ってあげられなかったけれど、本棚でしゃんとして、この日を待っていてくれたのだと確信する。

読書が好きな私の読書遍歴には、欠かせない一冊だ。

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