シャチハタ

シャチハタを捺すのが好きだ。印鑑と違って肩も凝らないし、捺すときのシュコッとした感触が気持ちいい。使用する機会はさほど多くはないが、社会人になる直前に買ったものを今も持ち歩いている。

ところでお化粧をする皆さま。出先でリップを忘れて困ったことはありませんか?
私はたまにやらかします。メイクポーチを持ち歩く習慣がなく、リップとパウダーのみ生身で携えているので、他のバッグやポケットに入れたまま忘れることも少なくはありません。

今はコンビニにもミニサイズのプチプラ品なら売っているので、さいあく買えば大丈夫。
でも、近くに買える店・時間がないときも…

そんなとき、私は救われました。
ーーーシャチハタに。

(回想)
お昼休み。職場のお手洗いで歯磨きを終えた私は気がついた。
このあと研修なのにリップねえじゃんwwwww
(c.v.寺田心くん)
リップくらい……と思うかもしれない。しかし、何を隠そう私は顔色が悪いことで有名だ(?)
わりと元気なときでも「大丈夫?なんか顔色が悪いよ😥」とご心配いただく。
食事と歯磨きですっかり消え去った唇の色味。昔、コンシーラーで唇の色を隠すのが流行ったらしいけど、それにグレー味を足したような感じ。コロナ前だったのでマスクも持っていない。

研修には他の部門の人たちも参加するうえ、みっちりグループワークもする予定だ。
A班の藤木とか言われない?コープスブライドとか変なあだ名つけられない??
いっそティム・バートンの映画に出してもらって退職するか。

なんて非現実的な未来はあり得ないので、今なんとかしなくては。
貸してくれる優しい人がいたとしても、人のリップ借りるのは抵抗がある。昼休みが終わるまで10分もない。コンビニに走る時間はない。
仕方なく再度かばんを探ってみたが、何回ひっくり返してもなかった。
さっきシャチハタ握ったとき、見つけたと思ったんだけどなあ。ぬか喜びだった。

…………。

……シャチハタじゃん。

シャチハタ=赤い=口紅

やったー私のIQ5000だ!✨
周囲に誰もいないことを確認して唇に当てる。
塗りづらかったので、指先に付けてからぽんぽんと叩いていく。
完璧。しかもいつものリップよりナチュラルで似合うまである。おかしいところはないか、唇に自分の苗字が表示されていないか何度も確認した。
そして誰にも何も言われることなく、数時間におよぶ研修は無事終了した。

水を飲んでも落ちない、周囲にバレない、しかもパーソナルカラーに合ってる←???
世紀の大発見だと思った。衛生面の問題を解決できれば、シャチハタとリップが一体化する可能性もあるのではと真面目に考えてみた。


それから数時間後、私の唇はガビガビになった。
おしまい。
※絶対真似しないでくださいね。

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