泣いた赤鬼

むかしむかしあるところに赤鬼が暮らしていました。
赤鬼は近くの村の人々と仲良くなりたいと思っていましたが、いつも怖がられてしまいます。
そんな時、友人の青鬼がいい考えがあると赤鬼に言ってきました。
いい考えとは青鬼が村へ行き、暴れまわるのです。
そしてその青鬼を赤鬼が退治することで村人は赤鬼に感謝し仲良くなるというものでした。
その考えに赤鬼はとても感心しました。
さっそくふたりは村へ行きました。
そして予定通り青鬼が村で暴れ始めました。
村人は泣きながら逃げ惑いました。
そこへ赤鬼がやってきて青鬼を投げ飛ばして退治しました。
一目散に逃げていく青鬼。
村人は助けてくれた赤鬼に感謝と今まで怖がっていたことを謝りました。
赤鬼は村人と見事仲良くなることができとても喜びました。
無事仲良くなれたことを青鬼に話そうと辺りを探しましたが、青鬼の姿がありません。
赤鬼が家へ戻ると一通の手紙が置いてありました。

 赤鬼へ
 君が村人と仲良くなる様子を見ていたよ。とても嬉しそうな顔をした君を見ることができて僕も嬉しいよ。だけど僕はここを去り、もう二度と君に会うことはできない。なぜなら村人を襲った僕と君が本当は仲がいいなんて村人に知られてしまったら、村人はきっと怒るだろう。せっかく村人と仲良くなれたんだ、これからは君がしっかり村人を守るんだよ。
                             青鬼より

手紙を読んだ赤鬼は自分がなんてことをしてしまったのだと思いました。
しかし時すでに遅く、青鬼は去ってしまいました。
赤鬼は手紙を握り一晩中泣きました。
それでも夜が明けると手紙に書かれていたことを思い出し、これからは村人を守ることが自分の役目だと考えました。
その頃、村では流行病に罹る人が度々現れました。
そこで赤鬼は村人の生活を守るため医学の道を志しました。
たくさん勉強した赤鬼は村の医者となり、多くの村人の病気を治しました。
そんな赤鬼が開いた病院にはこんな看板が掛かっていました。
「内科 赤鬼」
めでたしめでたし

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