会話の書き方2 メタファー

 会話の書き方の続きです。今回はメタファーです。
前回は行動への情報を読者に提示した方が良いと言いました。
その提示の方法を教えます。
 メタファーとは、雰囲気や価値観などを、ほかの何かなどで言い換え、読者の印象を通じてより多くの読者に同じ感覚を与えることができます。
 まず、このような文章が小説にあったとしましょう。
「古臭い上着を着てお父さんが家に帰ってきた。私にいつも優しくしてくれるお父さんは、私の心の中の綿のように温めてくれる。」
この場合、
「私の心の中の綿のように温めてくれる。」
がメタファーとなります。
 メタファーの書き方はここでは紹介しません。ここではこの文章を応用する方法について教えます。
例えば、「お母さんは自分に『早く寝ないと明日に響く』というけど、私からしたら、今が大事だから寝たくないのだ。」という文があったとします。
この文章をメタファーなどで変化させてみましょう。
「お母さんはせかせかと、私に対して棘のように寝るよう促してくる。しかし、私はのんびりと猫のように生きていたい。好きな時に好きなように。だけどお母さんはそんなこと認めてくれない。」
結構文が変割ったと思います。文章の印象も同様に変わったはずです。
前者はなかなか、直接的に聞こえますが、後者は主人公の気持ちを踏まえながらのふんわりとした文章に見えます。
では次に文章を少し変えてみましょう。
「お母さんはせかせかと、私に対して虎のように寝るよう促してくる。しかし、私はのんびりと小学生のように生きていたい。好きな時に好きなように。だけどお母さんはそんなこと認めてくれない。」
この場合、メタファーが変わりました。棘が虎に、猫が小学生に。
こうすると、この子は「小学生以上なんだろうな」や、「お母さんは厳しいんだろうな」というイメージになりました。
このようにメタファーは少しの変化でもイメージを変化できます。

 次に、小説では主に、語り手(ナレーター)目線で使います。そのため語り手が使うことを想定して使いましょう。
まず第三人称の語り手の場合です。
「縁が特に酷く錆びた白色の扉がある。扉は左から右へとスライドして開くようになっており、病院用の扉だと思える。しかし、その扉を開けるには難しく、ギシギシとした音がなる。重たい机の縁に手を当て移動させるような重さと難しさを感じる。扉を開けるとかすかに開いた隙間から病室のアルコールと青色で清潔、そして安心するイメージを思い起こさせてくる。」
この場合、「重たい机の縁に手を当て移動させるよう」と「病室のアルコールと青色で清潔、そして安心するイメージ」などといった部分がメタファーに当たります。ここはAIにも指摘されたんですが、この文章は一応説明的過ぎると思います。その理由は病院は人々によっていろいろなイメージがあるため、共通するイメージを連想させてわかりやすくしてるからです。
次に少し第一印象の語り手の場合で話してみます。
「夜の街を歩いていると不思議な気分になる。過去に一人で帰っていた夜道とか、友達と笑いながら歩いていた夜とか、大雨で辛かった時の夜とか、私が、この『夜の街』を歩いたのは何回目だろうか。好きなあの子とも歩いたはずのこの夜の街は、いつの間にか社会人の帰り道になっていた。『私は何かを忘れているのか』、そのようなことも思いながら私は静かな足踏みをして家への道を淡々と歩いていく。」
この場合、夜のことについて書いてあります。この文章は説明的ではなく、より読者に身を任せています。みんなの経験にあるような、様々な過去を踏まえてその街の静けさを表しており、その後読者に対して夜の街は社会人になっても変わり続けることと、昔の過去の事も連想するように促しています。このような文は読者に強く共感を与えることができます。
この文章は詩などにも応用できます。

「綺麗な街は経過の内に
街に小学生が有りきでは、
流れる雲は私の道路を踏み
車の通りに道があって、
古本屋私の故郷で学生時代、
歩道橋渡るあの時は、美しく
私と道を行く必要があるね。」

この詩は、わざと文法が崩壊して読みずらいです。しかしこの詩が何を示しているかはわかります。これは読者が勝手にその雰囲気を解釈できるように情報をたくさん与え、それをよりメタファーに近づけて感情的に理解しやすくしているからですね。
このように、メタファーは読者に訴えかけることができるためぜひ使っていきましょう。


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