詩 はじまり

優しいお父さんとお母さんのもとに生まれて
すくすく五体満足
先生と友だちと出会って
ふつうに結婚して
子どもを何人か授かって
ほっこり死ぬ

この街では僕の命はどうやらうまくいきそうにない
わかってる
そんなこと誰よりもわかっているさ

一人で逝こうとすると
きみは現実や勇気
神までをももちだして救いについて語りだす

わかってる
けれども、だからといってこの身体はやめない

僕はそんなきみを圧倒的に支持する

満ち足りているのに奪いあう
拾った愛のために自由を棄てる
いのちを弄びながらいのちの大切さを謳う
古ぼけた本たちに自然を殺めさせ
未来を肥やしに今を貪る
きみにはそれをする理由があるし
きみはそう決めた

紙切れで傷ついてしまうその身体
空気の振動で崩れてしまうそのこころ
そのくせ矛盾に立ち向かおうとする

僕はそんなきみを圧倒的に支持する

どんなときだってたった独りで
運命を背負ってきたきみを

だから自分を責めないで
時間はたっぷりある

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